Slide おおいた維新の会 代表代行 くわはら ひろし 桑原 宏史 もっと自由に、
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プロフィール

略歴

・1970年(昭和45年)佐伯市に生まれる

・東小学校・鶴谷中学校・佐伯鶴城高校卒業

・慶應義塾大学法学部法律学科卒業

・雑誌編集者、飲食店経営、貿易業、水産会社役員等を経る

・元社団法人東京青年会議所理事

・維新政治塾第1期生

・平成24年大分1区より衆議院議員選挙に出馬

・平成25年佐伯市議会議員選挙に初当選

・平成27年大分県議会議員に初当選

・平成31年大分県議会議員選挙 落選

現在

・日本維新の会大分県総支部 代表代行

・NPOおおいた県防災教育振興協会理事長

・NPO大分地酒・焼酎文化創造会議理事

・河川美化活動「つなばんプロジェクト」理事

・佐伯ラーメン愛好会顧問

政治信条

・「もっと自由で、もっと豊かな社会の実現」

・「次世代に胸を張って引き継げる社会を実現する」

桑原ひろしの思い

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私、桑原宏史は平成24年、当時の大阪府知事橋下徹さんが、「日本を変えよう」と全国に塾生を募った「維新政治塾」の第一期生として学び、その年の第46回衆議院議員選挙に大分1区で出馬、落選致しました。このことがきっかけで、19年過ごした東京から帰京し、生まれ育った佐伯市で政治家の道を歩もうと佐伯市議会議員を経て大分県議会議員にならせて頂きました。

地方議員として改めて地方を見ると、情報化、多様性、人口減少社会という時代の流れに翻弄され急速な速さで力を落としていく現状に改めて危機感を抱く毎日でした。国が抜本的な改革を示さないため、地方はこれまでの仕組みを微調整してなんとか乗り切ろうという考えしか持てていません。私は大分県が、故郷が生き残っていくための多くの提言を行った来ましたが、変化を拒む風潮の中、理解を得ることに困難を感じてきました。

維新の会は「自立する個人、自立する地方、自立する国家」を標榜してきましたが、地方を自立に導くには、国のシステムを変えていくことが先決であるという確信に至っています。

さらに現在、日本と世界は大変なコロナ渦に見舞われ、これから未曾有の不況、生活を大きく変えざるを得ない時代に突入してしまします。これからの日本が世界に伍して行くためには国力を貶めている政治家本位、官僚主導、既得権益と言ったものを打ち破り、民間において公正な競争原理が働くことで、この国の持つ底力が解き放たれる社会を目指すしかありません。皆さまと共に、「もっと自由で、もっと豊かな社会」の実現に命を懸ける意気込みで取り組んで参ります。

桑原ひろしの政策

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ここでは、「地方が豊かになるためには、国のシステムを変えなければならない」という確信のもと、私が大分県議会において示した国への政策提言を掲載させて頂きます。

一つ目の要望「地方における緊急雇用対策のための費用を補正予算で確保すること」についてですが、生産活動の成果を徴税あるいは債券発行の形で政府が吸い上げ、それを生産者に還元することが「緊急雇用対策」になることはありません。 タコが自分の脚を食べて元気になることがないのと同じことです。雇用問題を抜本的に解決するために必要なことは、自由な労働市場を妨害している規制を撤廃すること、例えば最低賃金の規制を撤廃することです。それなのに、中央最低賃金審議会は、7月29日に、大分県の時給を16円引き上げることを発表するなど、国は規制を強化しようとしています。これは、最低賃金で働いた場合の収入が生活保護の給付水準を下回ることがないようにするための決定ですが、給付を受けずに働くか、それとも給付を受けて働かないかの二者択一を前提すること自体が間違っており、部分的に給付を受けつつ低賃金で働くという中間形態を認めることで、多様な雇用のあり方、生き方を許容するべきです。生活保護受給者が働いて収入を得ると、その分生活保護費が減額される現行制度では、働く意欲が削がれてしまいます。働くほど、給付額を含めた全収入が増えるように制度を改めることを、国に対して要請するべきです。

二つ目の要望「農林水産業の構造改革を推進するための必要な費用を補正予算で確保すること」についてですが、構造改革と言いつつ、その実態はバラマキであるような要望を出すべきではありません。 政府は農業市場を部分的に開放する代償として農家にバラマキを行うことを過去に行ってきましたが、こうしたバラマキが国内農業の競争力向上につながらなかったことを反省しなければなりません。TPP締結後、日本の農業を守りから攻めに転換する上で必要なことは、既存のシステムを温存したまま従来型のバラマキを繰り返すことではなくて、農協の独占を排除することで、異業種や外資を含めた様々な民間企業の農業への参入を促すことです。日本の国土は狭いのですから、全国画一的なシステムのもとでコモディティ化した商品を量産し、それを安値で売るという戦略は通用しません。様々な人が知恵を絞り、その土地の個性を生かしつつ、他の農家には真似のできない高付加価値の農作物を生産することができるように、農業の仕組みそのものを変えなければなりません。

三つめの要望「自然災害のリスクが高い地域・施設等における緊急防災対策の費用を補正予算で確保すること」についてですが、大分県は、たしかにこれまで多くの洪水被害にみまわれ、また、南海トラフ地震の危険性が叫ばれており、当然に県民の命を守る防災・減災のために、老朽化したインフラ等の整備は必要であります。 しかしながら、東日本大震災で我々国民が学んだことはハードに頼りすぎてはだめだということではなかったでしょうか。岩手県宮古市の大規模防潮堤の倒壊等による被害と、反対に防災教育が功を奏した同じく岩手県の「釜石の奇跡」の事例が語るように、政府や自治体がするべきことは、コンクリートで自然災害そのものをなくすことではなくて、危険性に関する情報を公開し、その情報に基づいて、民間が自らを守る防災教育を充実させることです。

大分県ではこれまで洪水被害を軽減するために、治水ダムを数多く建設してきました。もちろん自治体が洪水対策をすることは必要ではあるものの、洪水は、山中の養分を低地にもたらすというポジティブな面もあり、浸水しやすい地帯をバッファー用の水田とし、人的被害を避けつつ、天然の肥料を活用するなどのデメリットをメリットに替える治水対策も検討するべきであることを申し添えておきます。

四つ目の要望「東京オリンピック・パラリンピック競技大会、ラグビーワールドカップ2019に向けた競技会場及びキャンプ誘致のための施設整備等に必要な費用を補正予算で確保すること」についてですが、新国立競技場建設問題で表面化したように、政府が直接ハコモノを作って所有するとなると、建設費用が高くなったり、イベント終了後の維持管理の採算が取れなくなったりするなどの問題が生じやすくなります。 スポーツ大会を開催するからと言って、競技場を政府や自治体が建設し、所有しなければならない必然性はなく、民間からサービスを購入する PFI あるいはPPPの手法を導入するという方法もあり、負担を最小限にする方法を検討するべきです。

五つ目の要望「地方創生実現のために必要な交付金を補正予算で確保すること」についてですが、国の地方創生事業の一環として、大分県を含めた全国の多くの自治体が、14年度補正予算に盛り込まれた地域住民生活等緊急支援交付金を活用して、プレミアム付き商品券の発行を行いました。この事業は「地域の消費喚起と経済循環を創出する」という口実のもとに行われていますが、その実質的な目的は、補助金支給による中小店舗の保護です。こうした中小店舗優遇策は、消費市場におけるイコール・フッティングな競争を阻害することになります。公正で自由な競争を歪めると、非効率な流通業者を温存することになり、結果として地域経済の生産効率を下げることになります。 つまり、短期的にはともかく、長期的には経済振興策としては逆効果であるということです。 「地域の消費喚起と経済循環を創出する」ことが目的なら、消費税で増えた税収の一部を商品券で消費者に還元するというタコ脚政策よりも、消費税率を引き下げる方が、はるかに合理的であり、公平であります。

 

以上のようにこれらの要望は地方経済に好循環をもたらすためと謳っていながら、その効果が期待できないばかりか、次世代に重い負担を課してしまうものであると判断し、反対を表明致します。

次に「地方財政の充実・強化を求める意見書案」についてですが、先の意見書案と同様に、ばらまく対象がやや異なるだけで、中央政府によるバラマキの要請である点では同じで、中央に対する地方の依存を強めることになるので反対です。

この意見書案は、人口減少対策として子育て支援に対する財源面でのサポートを国に求めています。広瀬知事も、人口減少対策として、出会いの応援や不妊治療費助成など種々の子育て支援策を打ち出しています。しかし、高度経済成長期のように産業の目的が量的拡大であった時代と違い、産業の目的が質的向上に移行した現代においては社会が高学歴化し、両親の晩婚化と子供の教育コストの増大により少子化が必然的に進んでゆくことは避けられません。 総人口を減少させ、総生産量(総消費量)を減少させつつも、一人当たりの生産性(所得)を増大させていくことこそがこれからの社会に求められる最大の課題であるべきです。 近年盛んになりつつありますが、政府や自治体が補助金を出してまで出産を増やさなければならないのかよく考えてみなければなりません。一つ考察例を挙げると、現在産んだ子供が就職するのはだいたい20年後ですが、オックスフォード大学等の研究によると、人工知能の進化により、20年後、現在人間がしている仕事のうち、単純頭脳労働など35%が人間のする仕事ではなくなるとのことです。先進国で少子化が進んでいるのは、こうした将来の事態に備えるべく起きている自然現象で、その時代の流れを財政的な介入によって変えようとすると多くの失業者を生むことになりかねません。政府や自治体としては、人的資源の量的拡大よりも質的向上を目指すべきであり、人工知能に取って代わられることのない、高度な才能を持った人材の育成を目指すべきです。

なお、大分県が既に行っている不妊治療費等助成事業には別の問題もあります。一般に女性は年齢が増加すると妊孕性(にんようせい)が低下するので、不妊治療費の助成は、高齢出産を推奨する政策効果があります。母体年齢が高くなるに従って、先天異常の発生確率が高くなることが知られており、こうしたリスクをも考慮するべきです。

さて、大分県は「子育て満足度日本一」を実現するべく、平成27年度の予算においても「待機児童ゼロ」の実現のため、保育所や認定こども園のさらなる整備を謳っています。しかし、そもそも待機児童問題は、認可保育所と認可外保育施設、詳しくは、公立、認可、認定、認定外といった政府や自治体が作り出した格差によって生み出された問題です。政府や自治体が税金を投入した保育所ほど料金は安く抑えられ、入所希望者が殺到し、その結果として待機児童問題が生じているのです。しかし、本来、保育施設の良し悪し、サービスの質の高低は消費者が決めるべきことであって、政府や自治体が決めるべきことではありません。待機児童問題を解決するためには、そして保育サービス市場における公平な競争を促し、民間の創意工夫を引き出すためには、こうした官製格差を解消しなければなりません。具体的には、保育所への直接的な助成金の支給を止め、代わりにバウチャー、例えば「おおいた子育てほっとクーポン」の発行額を増やすなど、保育施設が市場原理により選別される仕組みを作るべきです。

以上のような理由から、本意見書案は子育て支援等の公共サービス充実を訴えておりますが、その方向性や手法が時代の流れに即しておらず、次世代に重い負担を課してしまうものであると考え、反対を表明致します。

次に「義務教育費国庫負担制度堅持・教育予算の拡充を求める意見書案」は「日本は、OECD諸国に比べて、一学級当たりの児童生徒数および教員一人当たりの児童生徒数が多くなっている」と指摘した上で、「OECD諸国並みの豊かな教育環境を整備するため、少人数学級を推進すること」を求めています。しかし、OECDが2012年に行った国際成人力調査によると、日本は「読解力」、「数学的思考力」、「ITを活用した問題解決能力」の3分野すべてで世界トップでした。ゆえに、一学級当たりの児童生徒数および教員一人当たりの児童生徒数が多いという長年続いた日本の教育環境が、教育成果を低くしているとは言えません。但し、主としてゆとり教育を受けた16歳から24歳までの若者は、読解力ではトップであるものの、数学的思考力では3位、IT活用力では5位でした。OECDが15歳から16歳の生徒を対象に行っている学習到達度調査 PISA(ピサ) でも、ゆとり教育による学力低下の影響は明確に出ており、一学級当たりあるいは教員一人当たりの児童生徒数が多いことよりも、授業時間や指導内容の削減の方が深刻な結果をもたらしたと言うことができます。

本意見書案が挙げている外国人や障害者への対応は専用の授業で行うべき問題であって、一般の少人数学級を正当化する理由にはなりません。また、いじめや不登校は、学校を選択する自由を増やすことで解消するべき問題であって、教職員を増やして対処する問題ではありません。

結論的には本意見書案が少人数学級の推進を求めているのは、教職員の雇用の維持もしくは増大が目的と考えられますが、教育は生徒のためのものであって、教職員のためではないのですから、教職員の雇用のために少人数学級を推進することには反対します。

最後に「雇用の安定を求める意見書案」についてです。 本意見書案は雇用の安定を求めていますが、雇用を安定化させるための規制強化は、人的資源の最適配分を妨げ、生産性の低下をもたらすので反対です。

この点、政府が検討している解雇の金銭解決制度は注目すべきことです。労働基準法第二十条には、使用者が労働者を解雇する時、三十日前に予告するか、三十日分の平均賃金を支払うことを規定していますが、実際には、特に大企業では、三十日分の平均賃金を支払うだけで「解雇の金銭解決」が成されるケースは稀です。これは解雇権濫用を阻止するための規制やそれに基づく裁判の判例、慣習、慣例によって、解雇権の行使に大きな制約が課されているからです。使用者が派遣労働者を使用するのは、高い解雇コストを回避することが原因であり、派遣事業者による労働者の搾取を無くす上で最良の方法は、解雇コストをできるだけ小さくすることです。もしも、正規雇用労働者の解雇コストを労働派遣契約の解除コストと同等の低さにまで下げれば、正規と非正規との間にあった格差は解消し、政府や自治体が介入しなくても、市場原理により同一労働同一賃金が実現します。 本意見書案は規制緩和が長時間労働、不払い残業、過労死をもたらすとみなしていますが、これらはむしろ労働者に職場を選ぶ自由がないことによって起きる問題であり、「雇用の安定化」を大義名分として行われる労働市場の硬直化は逆効果であります。 グローバル経済では、労働者保護を名目に規制を強化すればするほど、企業は生産拠点を海外に移転するようになります。 逆説的な言い方ですが、法律で労働者の権利を守ろうとすればするほど、労働者の権利は守られなくなります。私たちは、グローバル経済のこの現実をよく理解した上で、政策を立案しなければなりません。

「私学性制度の堅持及び拡充強化を求める意見書案」については、もちろん、公私間にある不公正な格差の是正には賛成いたしますが、ここで言う「私」は私立学校による公教育であり、本当の意味での私教育ではありません。現行の私学助成の制度をそのまま「堅持」あるいは「拡充強化」すると、むしろ公私間の不公正な格差、つまり、消費者の選別の結果ではなくて役所の選別の結果生まれる格差が「堅持」あるいは「拡充強化」されてしまいます。公私間の不公正な格差を是正するために必要なことは、役所から設置認可を受けた私立学校に公立学校なみの特権を持たせることではなくて、むしろそれとは逆のベクトルの改革、すなわち公教育から特権を剥奪すること、あるいはそれが無理なら、少しでも弱めることで実現されるべきであります。以上の理由から本意見書案につき反対の表明をさせて頂きます。

「負担の公平性を保つ消費税の軽減制度創設を求める意見書案」が求める軽減税率につきましては、公明党が選挙で掲げた公約を実現しようとしている事は理解できますが、軽減税率は、低所得者を支援する方策としては、低所得者を限定した給付措置に比べると極めて非効率な方法であります。 又、財務省は、マイナンバーを用いた還付策を提案しましたが、財務省案で必要な情報システムの整備やカードリーダーの購入補助に3000億円がかかることから、与党からも大きな批判を浴びています。現在、消費税率の引上げによる影響を緩和するため、低所得者に対して、臨時福祉給付金を支給していますが、公明党の案や財務省の案と比べるならば、現行の臨時福祉給付金支給のほうが低所得者支援策としてはまだましであります。

ちなみにではありますが、低所得者支援をするなら、消費税増税は所得税増税に近いものになるという問題もあります。財務省は景気に左右されない財源が欲しくて、所得税ではなくて消費税増税をしたのに、低所得者支援をするなら、所得税と同様に、不況になると税収は落ち込むことになります。この点はどうなのかということもありますが、本意見書案につきましては、極めて非効率な軽減税率を阻止するために、賛成の表明をさせて頂きます。

「地方大学の機能強化を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

本意見書案が指摘する通り、国立大学法人運営費交付金が年々削減されています。しかし、一方で、その不足を補うべく、大学発のベンチャー企業が増えるなど、国に依存しない経営基盤の強化の試みも行われています。かつて、国から潤沢に交付金が支給されていた頃、大学教官は、象牙の塔にこもって、浮世離れした研究あるいは教育を行う傾向がありましたが、近年、独自財源を求める中、産学の垣根が低くなり、相互交流が活発になりました。これは、大学の研究と教育を実社会のニーズから懸け離れたものにしないためにも、大学の高度な知的資源を産業界で活用するためにも好ましいことです。もちろん、同じことは私立大学についても言えます。

今年ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智(おおむらさとし)先生は、産学連携の先駆者であり、「資金がないから研究ができないというのは言い訳」、「研究で世の中に貢献すれば、必ずまた研究費は入ってくる」と仰っています。もとより、基礎研究の分野など、産学連携が困難な分野もあるので、国による財政支援をすべて否定するものではありませんが、それを当てにする前に、まずは自力で資金を集める努力をする必要があります。

研究とは別に、人材育成のため、高等教育に対する財政支援が必要であることは確かですが、日本の大学、特に人文・社会科学系の学部は、教育機関として機能しておらず、交付金や助成金を増やすことが優秀な人材を育成する上で効果的かどうか疑問であります。教育そのものではなくて、教育の成果に対して褒賞を与えるなど、高等教育に対する財政支援の在り方を見直す必要があります。

以上の理由から、本議案に反対します。

現在、ボランティアらが運営する自主夜間中学が、全国に約三百カ所あり、外国人を含む約七千四百人が通っています。馳浩(はせひろし)文部科学相は、税金を投入して公立の夜間中学を全国の都道府県に一つずつ作ろうとしているようですが、同じような学校を作ることが官民の正しい役割分担になるとは思えません。むしろそれは、認可保育園と認可外保育施設との間にあるような不公平な官製格差を作ることになります。

そもそも、夜間中学に集まってくる学習者たちは、日本語を学ぼうとする外国人、勉強をやり直したい高齢者、元登校拒否児など、ばらばらで、一つの教室に集めても、効率的な授業はできません。また、一口に外国人といっても、母国語がまちまちですから、本来それぞれの母国語ごとに授業をするべきですが、夜間中学の場合、それは極めて困難です。通常の公立中学は、均質な児童が狭い地域に密集しているからこそ効率的な教育を行えるのであって、夜間中学のように、多様な学習者が薄く広く分散しているような場合は、むしろ放送大学がやっているような方法が望ましい。実際、放送大学ができてから、大学の夜間学部は減りました。

現代なら、放送を使う代わりにインターネットを使うことができます。国が各学習者のタイプごとに合った講義の動画を作り、著作権のない公共財としてネット上で公開し、インターネット経由で視聴できるようにすれば、学習者は時間と場所にとらわれずに、基本的な学習ができます。自主夜間中学では、聴講ではできない学習、例えば日本語会話の実践などに限定すれば、ボランティアの負担も軽減されます。私は、これこそが官と民の理想的な役割分担であると考えます。

以上の理由から、本議案に反対します。

我が県の農家が、多くの日本の農家と同様に、経営継続、本請願で謂う所の「再生産」の問題を抱えていることは事実ですが、これはTPPなどの貿易自由化によって起きる問題ではなく、農地改革以来自作農主義に固執し、家族経営、もしくはそれに近い地縁的で閉鎖的な経営を主体としてきた戦後日本の農業政策によって起きた問題です。平成13年3月施行の改正農地法で株式会社形態をも追加した農業生産法人制度がスタートしたものの、近代的で企業的な経営を行う農家は依然として少数です。日本では職業選択の自由がすべての個人に認められている以上、前近代的で閉鎖的な経営を続けていては、後継ぎ問題が起きるのは当然です。

もちろん、後継者難の問題を解決するためには、それに加えて、収益を向上させることが不可欠です。本請願では、三番目に、「マークアップや関税収入が削減されることに鑑み、対策のための安定財源を確保すること」が盛り込まれていますが、従来の保護主義的な農業振興策が成果を上げていない以上、それをそのままにして、たんに新たな財源を見出すだけでは、これまでと同じ失敗を繰り返すだけです。行政による農業振興策自体は必要であるものの、それは従来とは異なるアプローチによらなければなりません。

本請願では、肉用牛生産農家が特に取り上げられていますが、おおいた豊後牛は高級牛肉であり、外国から安い牛肉が入ってきたからといって、競争優位を失うことはありません。むしろ自由化を契機に、海外の富裕層向けに新たな販路を開拓することすらできます。貿易自由化は、日本の農家にとってチャンスであって、決して脅威ではありません。しかし、こうしたグローバルなビジネスの展開を行うためにも、農家は零細家族経営から脱皮する必要があります。本請願は肉用牛生産農家の経営規模が小さいことを指摘していますが、経営規模の小ささが収益性向上の妨げになっていると認識しているのであれば、行政に援助を求める前に、そうした農家同士が集まって株式会社を設立し、一般の投資家から資金を調達し、国際競争力のある資本構造を確立するべきです。

以上の理由から、本請願に反対します。

一般的に言って、医療費を無料化すると、医療資源の浪費が起きます。現在医師不足が深刻であり、無料化で病院に行かなくてもよい人までが病院に行くようになると、本当に医療を必要とする人がすぐに必要な医療を受けられなくなってしまいます。また、一部の医師には薬価差益目当てに過剰に薬剤を処方する傾向があり、無料化で患者のコスト感覚が麻痺すると、過剰投薬を促すことになります。実際、現在の三割という負担率においてさえ、過剰投薬による健康被害という医療の趣旨に反する事態がしばしば起きており、無料化はそれを加速させることになります。1973年に老人医療費が全国的に無料化されたことがありましたが、弊害が大きすぎたので、十年で廃止となりました。現在、生活保護受給者の医療費が無料になっていますが、同じような問題が起きています。対象を子供に拡大させて、医療資源の浪費を悪化させるべきではありません。以上の理由から、本請願に反対します。

職員の給与に関する条例等の一部改正について、反対の立場で討論をさせていただきます。

本議案は、大分県人事委員会の勧告に基づき、職員等の月例給、期末・勤勉手当等を引き上げようとするものであります。この勧告は、企業規模50人以上、かつ事業所規模50人以上の県内民間事業所393のうちから無作為に抽出した144事業所について調査をした結果に基づき、民間企業の水準に合わせ、月例給を0.13%、期末・勤勉手当を0.1月分引き上げるという内容になっていますが、「総務省の平成26年経済センサス」によると、事業所規模50人以上は、事業所数で全体の3%、従業員数で全体の40%ですから、ほぼ大企業の月給とボーナスの水準に合わせていることになります。国税庁の「民間給与の実態調査結果」によると、事業所規模が大きくなるにつれて、平均給与が高くなる傾向があり、この勧告に従うならば、職員の給与水準が中小企業を含めた民間企業一般の水準を超えることになります。

自治体が民間企業のように倒産することはなく、公務員は失職するリスクが低いことを考えるならば、職員に大企業並みの待遇を与えることは、不合理であります。企業の平均寿命は30年程度で、業績が好調な期間はそれよりも短く、昨今、大企業ですら定年までの終身雇用を維持できていないのが現状です。ローリスクならローリターン、ハイリターンを求めるならハイリスクというのが原則であって、ローリスクな雇用で大企業並みのハイリターンを与える例外を公務員に認めてはいけません。それはたんに財政上好ましくないというだけでなく、私たちの価値観を歪めるという点で有害であります。

2010年から2014年にかけて行われた「世界価値観調査」によると、五十九か国の二十代の若者に「冒険してリスクを冒し、刺激のある生活を大切にしているか」、「新しいアイディアを思いつき、クリエイティブであることを大切にしているか」と聞いたところ、日本の二十代が肯定した割合は、どちらの項目でも、五十九か国中最低であるという結果が出ました。公務員が人生の勝ち組であるという現状を変えなければ、日本の若者は、リスクを冒してでもクリエイティブな仕事にチャレンジしようという気にはならないでしょう。

自治体によっては、その首長がこの勧告に異を唱え、勧告を拒否している事例も出ております。大分県も人事委員会勧告を何も考えずに受け入れるのではなく、ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンの原則を踏まえ、公平な給与水準の決定を行っていただくよう、再考を促すべく、本議案につき反対の意見を表明させていただきます。

「奨学金制度の充実等を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

奨学金という名の学生ローンの延滞者が17万人に上ることが社会問題化しているのは事実です。しかしながら、高コストな公教育の現状をそのままにして、この意見書案が提案する対策を実行するとなると、財政支出に歯止めがかからなくなります。義務教育以外であっても政府による教育のサポートが必要であるという考えには賛同しますが、その教育はサポートに値するコスト・パーフォーマンスの高い教育でなければなりません。

教育のコスト・パーフォーマンスを高める究極の方法として、公教育の学校で一体となっている教育とその成果に対する評価という二つの機能を分離し、政府や自治体の仕事を後者に限定し、前者は市場経済に委ねるということを、すなわち、政府や自治体は教育そのものではなくて、教育の成果に対して金を出すことを提案します。そうすれば、成果の出ない教育は市場原理によって淘汰され、公的資金が成果の出る教育に対して効率的に使われるようになります。

意見書案には「学習意欲と能力のある若者が家庭の経済状況にかかわらず進学し、安心して学業に専念できる環境をつくる」とありますが、学習意欲と能力のある若者なら、例えば、ネット上で視聴できる講義の動画等を見ながら自分で勉強するというコストのかからない方法で勉強することもできます。政府と自治体が、試験やコンテストを実施し、基準に達した学習者に報奨金を出せば、貧困家庭の学習者もその金で、コスト・パーフォーマンスの高い教育を選んで受けることができます。

以上の理由から、既存の公教育利権を強化することにしかならない本議案に反対します。

  1. 法案名

過疎地域解消等を推進するための生活保護法等の一部を改正する法律

  1. 立法事実

2.1. 扶養義務の範囲

生活保護法第四条2に「民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」とある。また、民法第877条には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」とある。近代的個人主義が確立している他の多くの先進国では、扶養義務の範囲を夫婦と未成年の子供に限定しており、日本の扶養義務の範囲は広すぎる。

扶養義務の範囲が広いため、福祉事務所にとって扶養照会のコストが高くつく。それでいて、福祉事務所には強制力がないので、コストに見合った成果を上げていない。それでも、三親等内の親族に対して行われる扶養照会を恥と感じる人の中には、申請をためらう人が多い。その結果、厚顔無恥な人が福祉の恩恵を受ける一方で、羞恥心を持つ善良な人がその恩恵には与れないという道徳的逆選択が起きている。これは道徳的に好ましいことではない。

2.2. 収入金額比例方式

生活保護費は、勤労所得に応じて減額される。ただし、基礎控除の控除額は、勤労収入に比例して増加させる収入金額比例方式を採用しているので、勤労によって生活保護費を増やすことは可能である。しかし、現行の制度では控除額の増加率が小さいので、受給者の労働意欲を高めているとは言い難い。

2.3. 最低賃金法

現行の最低賃金法では、都道府県別に地域別最低賃金が適用され、身体障碍者等に減額の特例はあるものの、例えば、生活保護受給世帯の半数を占める高齢者に対しては、特例は認められない。このため、働く意欲があり、かつ働くことができる高齢者であっても、職を見つけることができないことが多い。高齢者以外の生活保護受給者にも同様の事例がみられる。すなわち、地域別最低賃金は、生活保護受給者が雇用を見つける上での障害になっている。

2.4.低級地の過疎化

現行の生活保護制度では、1級地から3級地にいたるまで、地域を物価水準で分類し、高い級地ほど生活扶助基準額を高く設定している。物価水準(特に住居コストの水準)が低い3級地は、離島などを除く過疎地に多い。全国的に人口が減少する中、首都圏への人口の一極集中が進み、地方では空き家や耕作放棄地が増えるなど、急速な過疎化が進行している。政府は、地方創生を掲げているが、グローバリゼーションによる国内産業の空洞化により地方には雇用がなく、公共事業を増やしたところで、この流れを変えることはできないでいる。

  1. 法案の説明

立法事実で述べた2.1.~2.3.の問題点は、最終的には全国レベルで解決するべきであるが、一度に行うと、生活保護給付総額が増加するなど、混乱が予想される。そこで、3級地を生活保護特区とし、生活保護特区に限定した規制改革を行おうというのが本法案の趣旨である。

すなわち、物価水準の低い3級地に居住するか、そこへの転居を希望したものに限定し、扶養義務の範囲を夫婦と未成年の子供に限定する。勤労意欲を高めるために、控除額の増加率を高くし、生活保護受給者に限定して、最低賃金法の適用を除外する。

  1. 効果

この規制改革により、都市部に住む生活保護受給予備軍が地方の生活保護特区に移住することが促される。また、最低賃金の規制が撤廃されることから、低賃金労働者を雇用しようとする事業者が生活保護特区に進出することも期待される。控除額の増加率を高めた収入金額比例方式により、受給者は低賃金でも働こうとするものが増える。

生活保護特区制度により、受給者が増えることが予想される。しかし、3級地は給付水準が低く、加えて勤労者が増えることで、給付総額の急激な増加が抑制されるので、財政を大きく圧迫することはない。これに加えて、都市から地方への移住が増え、地方に雇用の場が生まれることにより、地方の過疎化の阻止、地方創生という効果が期待できる。

まとめるなら、本法案は、貧困対策と過疎地対策という二つの政策課題を同時に解決する一石二鳥の効果を狙っているということである。

次に、「性犯罪等被害者のためのワンストップ支援センターの設置等を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

性暴力の被害者が、一か所で法的、医学的、心理学的、社会的支援を受けることで、二次被害に遭うことなく回復できるようにするべきだという提案の趣旨には賛成します。しかしながら、内閣府の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引」によると、被害者が警察に通報することを希望しない場合でも、緊急避妊等に要する公費負担等について説明し、警察への届出を勧め、さらに、一定の資力要件等を満たす場合には、無料で法律相談を受けさせ、被害に対する損害賠償請求訴訟を起こす場合や刑事手続に引き続いて行われる損害賠償命令制度を利用する際にも、代理人である弁護士費用等を立替えて経済的負担を緩和することが書かれています。

妊娠中絶手術費用や裁判費用を無料化するといったインセンティブを与えて訴訟を勧めると、例えば避妊に失敗した女性がそれを目当てに和姦を強姦と偽って訴訟を起こすという事態も予想されます。第三者が和姦と強姦を区別することは困難で、冤罪被害を生むことにもなりかねません。行政が、事件化を望まない女性に事件化するように圧力をかけることまでは不要と考え、本議案に反対します。

「再犯防止対策に関する支援の充実を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

出所後の再犯率が高いということは、矯正施設内での指導・教育、あるいは出所後の社会復帰のための更生がうまくいっていないということです。そうであるなら、既存の方法をそのままにして、支援を量的に充実させるだけでは、あまり効果は期待ができません。再犯防止のありかたを抜本的に改革する必要があります。

日本では、既に、PFI方式で刑務所を民営化するなどの新しい改革が試みられていますが、再犯率を低下させるには、民間企業にそうするようにインセンティブを与えなければなりません。イギリスでは、社会的企業が投資家から資金を集め、その資金で受刑者に対する再犯防止教育を行い、再犯率の低下によって削減できる行政コストの一部を投資家に還元するというインパクト投資の手法を刑務所が採用したところ、大きな成果がありました。この方法は、行政が事業そのものに金を出すのではなくて、事業の成果に金を出すところに特徴があります。イギリスでの成功を受けて、インパクト投資は現在世界で幅広く採用されています。日本もこうした手法で、民間の知恵と資金力を活用するべきです。

以上の理由から、公務員主体の矯正と更生を前提としている本議案に反対します。

「地方公会計の整備促進に係る意見書案」に反対する立場で討論を行います。

民間企業の会計に倣って、地方公会計を単式簿記による現金主義会計から複式簿記による発生主義会計に変えることは必要ですが、民間企業の会計に倣うのなら、書類を用いた従来の手間のかかる方法をやめ、経理業務と会計業務のデジタル化、オンライン化、自動化を推進するべきです。

日本政府は、2000年にe-Japan(イージャパン)構想を打ち出したのにもかかわらず、行政の情報処理の電子化は一向に進んでいません。行政の業務を効率化するためにも、中央地方を問わず、クラウド・コンピューティングの活用が政府に求められます。とりわけ、経理業務と会計業務は、現代においてはもはや人間がやる仕事ではないのですから、本意見書案のように書類ベースの非効率な人海戦術的業務を前提に、予算の増額を求めるべきではありません。むしろ電子政府の実現、クラウド化の促進を求めるべきです。以上の理由から、本議案に反対します。

「児童虐待防止対策の抜本強化を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

厚生労働省のキャンペーンが功を奏したこともあって、児童虐待の相談対応件数がこの十年ほどの間に増えているのは事実ですが、児童虐待に対する主観的な関心が高まっていることは必ずしも児童虐待が客観的に増えていることを反映したものではありません。警察庁の調べによると、児童虐待で死亡した児童数は平成16年から平成25年にかけての十年間でむしろ減少しています。厚生労働省は、あたかも児童虐待が客観的に増えているかのような印象を世間に与えることで、児童相談所の増設、弁護士配置の義務付けなど、自分たちの利権を強化しようとしていますが、こうした行政の無駄な肥大化は阻止しなければなりません。

児童虐待が起きているなら、本来警察が虐待者を暴行罪や傷害罪などで逮捕するべきですが、現行犯でないなら、裁判官が発付する令状が必要になります。これに対して児童相談所は、児童相談所長の判断で予防的に一時保護を行うことができるので、誤解に基づいて子供が家庭から引き離されるということが頻繁に起きます。その結果、家庭での虐待の事実がないのに子供が一時保護になり、保護先で、共同生活する非行少年や職員から虐待を受けるという、児童相談所の本末の趣旨とは逆のことも起きています。こうした悲劇を増やさないためにも、児童虐待の取り締まりは、基本的に警察にさせるべきできあり、児童相談所に過大な期待を抱くべきではありません。児童相談所の役割は、養育不可能になった子供の里親探しなど、厚生労働省本来の仕事を中心にするべきです。

以上の理由から、児童相談所の強化を求めている本議案に反対します。

「大分県長期教育計画の策定」について反対する立場で討論を行います。

本長期教育計画は、大分県長期総合計画の「教育部門」となっていますが、私(わたくし)立の学校や塾などの私教育には触れられておらず、実質は長期総合計画の「教育委員会部門」であり、大分県の「教育全体」の方向性を示すものにはなっていません。 公教育の得意とするところは、画一的な平準化教育ですが、多様化の進む現代社会において求められる、特質を伸ばす教育を進めるためにも、できるだけ民間の手法を取り入れ、また民間の力を使って補完しなければならないと考えますが、その点が欠落しています。

教員の評価についても同様と考えますので、例示として挙げます。

本計画の冒頭で述べられている通り、平成20年度に発生した教員採用選考試験をめぐる不祥事は、我が県の教育行政に対する県民の信頼を失墜させました。再発防止策を立てる前に、そもそもこうした汚職事件がなぜ起きるのかを、根本的に考える必要があります。

塾や予備校といった私教育ではこうした問題は起きません。採用時に学力確認のため筆記試験を課している所もありますが、その結果がいつまでも重視されることがないからです。生徒の評判が良くなかったり、学力を伸ばすことができなかったりすればクビになります。教師の仕事は生徒の学力を伸ばすことですから、教師の能力は採用時の試験の成績ではなくて、実際に生徒の学力を伸ばすことができるかどうかで測定されるべきなのです。

ところが、公教育では、教師の採用や昇進は、こうした消費者の選別では決まりません。決定権が多数の消費者ではなくて、教育委員会を含めた行政側の少数の管理者にあります。 それなら、そこを買収すればよいということになります。公立の場合、教員の身分は公務員ですから、いったん正規教員として採用されると、教師としての実力を発揮しなくても、その後の雇用が保証されます。

私は、たんに不祥事の再発を防ぐという消極的な理由からだけでなく、消費者である生徒の満足度を高めるという観点から、もっと消費者の選択を反映するように公教育のありかたを変えることを求めたい。 もちろん、私教育のように完全に市場経済の原理を取り入れるというわけにはいきませんが、それを部分的に取り入れることならできます。

例えば、教員採用の際に、実際に生徒の前で模擬授業をやってもらって、生徒に評価してもらい、その結果を参考にするといったことです。臨時講師を正規教員にするかどうかといった判断も、採用試験の点数だけで決めるのではなく、勤務時の生徒の評価や学力の上昇度などを基準にするということも提案できるでしょう。 公務員身分の教員は年功序列なので、給与をそういう基準で決めることはできないでしょうが、ボーナスなどは自治体の裁量でどうにかなるので、実力主義的に決めることも検討に値します。

本計画では、不祥事の再発を防ぐために管理を徹底する旨が記されていますが、決定権が少数の管理者にあるという基本構図が変わらないのなら、同じような問題が起きることでしょう。

このように、教員の評価にもみられるような、旧態依然とした教育制度をこのまま存続させるべきではないという考えから、本計画案に反対します。

「少人数学級の推進などの定数改善と義務教育費国庫負担制度二分の一復元及び制度の拡充を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

一学級当たりの生徒数を減らす改革の費用対効果が低いことは国内外の様々な調査で明らかになっています。例えば、学級の人数の定員が40人で、40人のクラスに転校生が一人来るだけで二つのクラスに分けられる横浜市において、一学級当たりの生徒数が偶然半分になることで、生徒の学力がどれだけ上昇するかを計測したところ、小六と中三の国語と算数、数学の四つの調査対象の中、小学校の国語だけ、学級規模が一人小さくなると偏差値が0.1上昇する効果が確認できたものの、他の学年と科目の組み合わせでは統計的に有意な効果が確認できませんでした。少人数学級の推進はエビデンスに基づく教育改革とは言えません。

私は、「子どもたちが全国どこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請である」という本意見書案の主張には賛成します。維新の会では、この考えに基づき、すべての教育を無償化することを目指しています。しかし、それはバウチャー導入など、公教育の枠を超えた競争政策により教育産業のコスト・パーフォーマンスを最大に高めることで実現しなければなりません。それをせずに、非効率な公教育を公的資金投入により延命させようとする本意見書案の提案には反対します。

「日米地位協定の抜本的見直しを求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

沖縄県うるま市で発生した女性殺害事件では、日本の警察が米軍属を逮捕し、裁判も日本の国内法に基いて実施されるため、日米地位協定が日本の主権を侵害している事実はありませんが、この事件とは無関係に、日米地位協定は見直されるべきだと維新の会は考えております。日米地位協定は、日本と同じ第二次世界大戦の敗戦国であるドイツやイタリアの地位協定と比べて、不平等であるからです。

ドイツやイタリアが主権国家として米国と対等なパートナーシップを樹立することができたのは、集団安全保障において応分の役割を果たしているからです。ドイツはアフガン戦争に、イタリアはイラク戦争に参戦しました。日本も、米国との間に対等なパートナーシップを求めるのであるなら、日米安全保障条約の片務性を是正するべきです。本意見書案は、在日米軍基地縮小の支持や集団的自衛権行使に対する批判を含んでいますが、日本が広域的な集団安全保障に主体的に貢献しようとしない限り、日米地位協定の抜本的見直しは困難であることを認識しなければなりません。

「食品ロス削減に向けて取組の促進を求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

食品ロスを削減するという目標の設定は正しいものの、そのための取り組みとして本意見書案が列挙する手法に実効性があるかどうか疑問なので、私が代替案を提案します。

まず、食料商品の賞味期限をバーコードで読み取れるようにすることを法律で義務付けます。そうすれば、消費者は、購入済み商品のバーコードをスマホで読み取るかあるいは店舗とクラウドを通じて購入履歴のデータを共有するかして、購入した食料商品を一元管理し、計画的な消費ができるようになります。それにより、購入したことを忘れて、賞味期限が過ぎた食料を破棄するというケースを減らすことができます。

次に貧困対策を兼ねて、賞味期限間近の食料商品限定で購入できるフードスタンプを電子マネーの形で低収入低資産の貧困者に配布することを提案します。バーコードで賞味期限を読み取ることができるなら、適合商品かどうかは自動的に判定されます。賞味期限間近の食料商品の需要が増えることで、賞味期限切れによる食糧破棄のリスクが低減されます。

これ以外に、衛生面や味の点で問題はないが、大きさ・色・形などが規格に適合せずに破棄されている規格外食品を政府が安価に買い取り、ネット上の市場を通じてフードスタンプで購入できるようにすれば、食品ロスをさらに削減することができます。従来のフードスタンプには転売という問題がありますが、電子マネーの場合、サーバーに売買履歴が残るので、それを人工知能に監視させることで、不正を防ぐことができます。

私が提案するフードスタンプは、生産者にとっては失敗商品からも一定の売り上げが得られるという意味で、消費者にとっては貧困に陥っても最低限の食料を確保できるという意味で二重のセイフティ・ネットを社会にもたらします。本意見書案の提出者に参考にしていただければ幸いです。

「待機児童解消に向けて緊急的な対応を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

待機児童問題を解決することが国と自治体にとっての急務であることに異論はありません。しかし、本意見書案のように専用施設の整備という方法で解決することには反対します。本意見書案は保育士の処遇改善を求めていますが、土地の購入や施設の建設に金を使っていると、保育士の給与に回る金が減ってしまいます。

待機児童問題は、認可保育所等の利用料金が実際のコストと比べて安すぎることによって起きているので、この問題は直接的な施設給付を削減することで解決します。代わりとなる保育の受け皿ですが、維新の会では、フランスの保育ママの制度を参考に、家庭的・小規模保育による問題の解決を提案しています。

フランスでは、比較的短時間の研修を受けることで、保育士ではなくても保育ママとして認定され、自宅で他人の子供を預かることができます。意見書案には、「保育ニーズと保育施設とのマッチングを行う保育コンシェルジュ」の機能強化が挙げられていますが、現代なら、ウーバーのようなITによるマッチングで、家庭的・小規模保育の事業者でも利用者を見出すことができます。

昨年4月より「子ども・子育て支援法」が施行され、家庭的・小規模保育の事業者にまで給付費の支給対象が広がりましたが、年齢制限や連携施設制度など無意味な規制が多い。私たちが国に求めるべきことは、こうした無意味な規制の撤廃ではないでしょうか。本意見書案提出者に再考を促したい。

「消費税増税の撤回を求める意見書案提出を求める請願」について賛成の討論を行います。

一般に、税金は、課税の表向きの理由が何であれ、結果として課税対象にネガティブなインセンティブを与えるという意味で、罰金として機能します。ですから、「取りやすいところから取る」ではなくて、「好ましくない行為を阻止するために取る」という原則に基づいて課税対象を決めなければなりません。消費税は、社会保障のための財源という位置付けになっていていますが、実際にはどのような歳出にも使える普通税に過ぎず、たばこ税のような意図的な懲罰税ではないものの、結果的には消費に対する懲罰税として機能します。

最初に消費税が導入された1989年4月は、バブルの全盛期で、消費が過熱していたので、この時期の消費税課税は、加熱する消費を冷まさせるという好ましい効果を出しました。しかし、1997年4月、2014年4月に行われた消費税率の引き上げは、バブル崩壊後のデフレが長引く中、消費が低迷しているにもかかわらず実施され、両方とも消費、さらには経済全体に悪影響を与えました。直近二回の消費税増税は政策としては失敗であったと評さざるを得ません。

日本経済は、未だデフレから完全に脱却していません。デフレになると、期待インフレ率が下がり、人々は投資や融資に消極的になり、貨幣を死蔵するようになります。これでは経済が成長しません。ですから、デフレの時期には、貨幣の死蔵という好ましくない行為を阻止するように懲罰税を課せばよいのです。そしてその課税を安倍内閣は既に行っています。それはインフレ税です。

黒田日銀総裁は、2013年4月から異次元の金融緩和をはじめ、金利を上回るインフレ率を実現しました。これにより円建て預金は実質的に減価し、政府債務も実質的に削減されました。このことは、円通貨を死蔵している人から政府がインフレ税という目に見えない税金を徴収し、それで政府債務を減らしているということです。人々はインフレ税を回避しようと投資に走り、その結果資産インフレが起きました。インフレ税は、懲罰税としてデフレ脱却の効果を発揮したということです。

財務省は、消費税を増税しなければ財政が破綻すると警告していますが、政府にはシニョレッジという特権があるのですから、その特権を使って、消費税を増税せずに債務規模を減らすことは可能です。それなのに、安倍政権は、2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げてしまいました。これは、暖房で部屋を暖めている時にエアコンで室温を下げるようなものです。インフレ効果のある懲罰税を課している時にデフレ効果のある懲罰税を課すべきではなかったのです。実際、アベノミクスは、この時の増税で大きく挫折してしまいました。

ですから、2014年11月に、安倍総理が、消費税率を8%から10%に引き上げることを見送ったことは、政策判断としては正しかったと評することができます。しかし、その際に、附則の景気弾力条項が削除して、2017年4月1日に、8%から10%へ引き上げるという約束をしてしまいました。おかげで、2016年6月になって、消費税増税の再延期の表明を余儀なくされ、公約違反という非難を浴びました。

今回の先送りでは、2019年10月1日までに増税することが決められています。財務省を説得するためだったのかもしれませんが、消費税がデフレ効果のある懲罰税であることを考えるなら、2019年10月に経済状況がどうなっているのかわからない段階で、消費税率の引き上げを決めることはするべきことではありません。

以上の理由から、私は本請願を受け入れ、2019年10月1日に、その時の経済状況がどうなっているのか予測できない今の時点で、消費税率を10%に引き上げることに反対する意見書案を提出することに賛成します。

「指定生乳生産者団体制度の存続と機能強化を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

本意見書案は、指定生乳生産者団体制度が牛乳乳製品の安定供給を支えていると述べていますが、それならば、二年以上続いているバター不足問題をどう説明するのでしょうか。バターの原料である生乳が不足しているわけではありません。バターは、牛乳とは異なって取引価格が安く、チーズとは異なって関税が高いために、日本国内で供給不足が生じているのです。バター不足問題は、政府が行っている統制経済と保護主義の弊害を如実に示しています。

本意見書案は、一元集荷が生産者の価格交渉力を高めると述べていますが、市場の独占で価格を吊り上げるというような方法は、消費者の利益を無視しています。消費者の利益を第一に考えるなら、市場を自由化するべきです。牛乳や乳製品の内外価格差は約三倍なので、市場を完全に自由化すると、国内の酪農生産者が壊滅するという予想もありますが、私はそういう見方はしていません。なぜなら、日本の消費者は価格だけでなく品質も重視しており、価格が高くても新鮮な牛乳を買うであろうからです。

2015年に、大阪府立環境農林水産総合研究所が、民間企業とともに、牛へのカプセル投与によりアルファ―・リノレン酸に富む高付加価値牛乳を生産する技術の開発計画を発表しました。日本の消費者は健康志向が強いので、付加価値の高い牛乳ならば、高値でも売れるでしょう。

これは酪農産業におけるイノベーションの一例にすぎませんが、今後日本の酪農産業にとって重要なことは、政府の規制と補助金に守られて寄生的な経営を続けることではなくて、イノベーションを通じてグローバル市場で戦うことができるだけの競争力を身につけることです。当面、TPPが発足しても、乳製品への関税は守られますが、それが将来維持されるという保証はないので、本格的な自由化に先立って、国内市場を自由化し、牛乳を脱コモディティ化するべきです。

「「同一労働同一賃金」の実現を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

私は、「同一労働同一賃金」という理念には賛成であり、維新の会としても「同一労働同一賃金法」を制定し、年功序列型の職能給から職務給へと転換することを政策目標としています。しかしながら、それを実現するために本意見書案が提案している手法には同意できません。

日本の非正規雇用労働者の待遇が、正規雇用労働者の待遇と比べて劣悪なのは、正規雇用労働者の権利が規制によって過剰に保護されているからです。本意見書案は、「日本の雇用制度に既にビルトインされている独自の雇用慣行や中小企業への適切な支援にも十分に留意」することを求めていますが、これでは真の問題の解決にはなりません。

法律で規制したり、政府が介入したりしなくても、解雇規制を緩和し、労働市場を自由化すれば、「同一労働同一賃金」は、市場原理により自動的に帰結します。解雇規制の緩和は、正規雇用労働者にとって不利に見えるかもしれませんが、雇用者にとって簡単に解雇できるということは、簡単に雇用することもできるということであり、長期的に見れば、雇用の流動化は、人的資源の配分の最適化をもたらし、非正規労働者だけでなく、正規労働者にも利益をもたらします。

かつて「ヨーロッパの病人」と呼ばれたドイツは、労働市場を自由化したシュレーダー改革のおかげでヨーロッパの優等生になりました。日本をアジアの病人からアジアの優等生に変えるために必要なことは、労働市場の自由化です。労働市場の自由化は、たんに「同一労働同一賃金」を実現するだけでなく、生産性を高めることにより賃金水準をも高めます。逆説的に言うならば、労働者の権利を法律で守らない方がかえって労働者の権利は守られるのです。

「年金者対策の推進を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

一番目の受給資格期間を短縮する提案は、年金加入者を増やすための戦略として悪くはありません。受給資格期間が短ければ、それだけ支給額も減るので、不公平さもありません。したがって、必ずしも反対ではありません。しかし、二番目の「年金生活者支援給付金」等の低年金者への福祉的な措置は受け入れられません。

無年金者あるいは低年金者には、年金がなくても生涯自活できる人とそうでない人がいます。自分で資産運用するなり、働き続けるなりして自活することができる無年金者は、法的な建前としては認められないものの、政府として何らかの対策を講じなければならないターゲットではありません。

問題は無年金あるいは低年金で自活できない高齢者です。第12号議案は、福祉的な措置を講じることを提案していますが、このような措置は生活保護と重複するので、この問題は、結局のところ、年金と生活保護の関係をどうするのかという長年議論されてきた問題になります。

維新の会は、無年金高齢者が生活保護に安易に依存しないようにするために、勤労税額控除制度を導入し、働き続けることにインセンティブを与えるように提案しています。無年金高齢者に限ったことではありませんが、生活保護受給者は、働くことができる範囲内で働くべきですし、法や制度はそれを促すように変更されるべきです。

「地方議会議員の厚生年金への加入を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

厚生年金とは、企業によって雇用されている従業員が加入する公的年金で、企業の命令に従わなければならない従業員は、自由を制限されることの代償として、老後の面倒を企業に見てもらえるというのが制度の趣旨です。これに対して自営業者には行動の自由があり、その代償として、老後の生活設計は自己責任で行わなければなりません。自営業者は、厚生年金に相当する国民年金基金を国民年金に上乗せすることができますが、国民年金基金には、基本的に税金は投入されないし、厚生年金で行われている労使折半といった負担軽減の特典もありません。

私たち、地方議会議員は、特別職地方公務員で、形式的には公務員でありますが、一般職地方公務員のように雇用主である自治体の命令に従って労働しているわけではありません。むしろ命令される上司がいないという点では、実質的には自営業者に近い。一方で、自営業者並みの自由を享受しておきながら、他方で労使折半の特典をも享受し、老後の面倒はサラリーマン並みに見てもらうというのは、いわば良いとこ取りの虫の良い要求のように思えます。身を切る改革を訴える維新の会としては、一般国民以上の待遇を要求するような案には賛成できません。

もとより、本意見書案が指摘している地方議会議員のなり手不足の問題は解決しなければなりません。しかし、この問題は、短期的には、海外と比べて高い供託金の金額の引き下げによって、長期的には、雇用の流動化によって解決されるべき問題です。解雇規制緩和による労働市場の自由化の必要性については、既に述べた通りで、雇用が流動化すれば、正規雇用の職を捨てて立候補する人が増えるでしょうし、落選した後の再就職も容易になります。本意見書案は、サラリーマンの自営業者化ではなくて、逆に自営業者のサラリーマン化という目指すべき方向とは逆の方向が示されており、この点においてこの議案には反対を表明する次第です。

「地域の状況に応じて運用できる「民泊」法制化に関する請願」に反対する立場で討論を行います。

近年、人口減少により空室や空き家が増える一方で、訪日外国人観光客が増えております。その結果、民泊需給のマッチングを行うインターネット上のサービスの利用者が増え、民泊のルール整備の必要性が日増しに高まっています。厚生労働省と観光庁は、営業日数を180日以下に設定するなど一定の要件を満たす住宅での民泊を合法化することを定めた有識者会議での最終報告書を受けて、来年の通常国会で民泊新法を提出する予定です。本請願は、地域の実情に応じた運用を認めることを要望していますが、最終報告書には「地域の実情に配慮することも必要である」とあり、ことさら地域での独自運用を要望する必要があるのか疑問です。

民泊の解禁によるメリットがデメリットを上回るかどうかは地域によって異なり、東京都大田区や大阪府のいくつかの自治体のように、国家戦略特区として旅館業法の特例を既に設けているところもあれば、東京都台東区や長野県軽井沢町のように事実上禁止する方針を打ち出しているところもあります。では、大分県はどうすればよいかということになりますが、みずほ総合研究所が2015年に公開した報告書「インバウンド観光と宿泊施設不足」によると、大分県は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に、客室数の供給不足幅が最も深刻になる都道府県として全国で十番目に位置付けられています。したがって、本県としては、地域独自の例外的な運用を求めるといった消極的な姿勢を示すよりも、積極的に新しい規制緩和を受け入れるべきではないでしょうか。

本請願が指摘する通り、民泊を規制の対象外として放置すると、周辺住民とのトラブル、公衆衛生、火災、犯罪等の問題が生じる可能性があるので、予防的な措置をとる必要があり、そのためにも、合法的な民泊を規制する民泊新法を早く成立させるべきです。新法成立に際して要望するべきことは、旅館業法が適用される既存の宿泊事業者と新規に市場に参入する宿泊事業者のどちらか一方が不当に不利にならないように、競争条件をイコール・フッティングにすることです。要望するべき内容が違うという点で、私は本請願に反対します。

今回の一般会計補正予算案では、国経済対策関連事業として、農業に対する助成や支援の事業が目立ちます。「肉用牛競争力強化対策事業」、「県産鶏肉鶏卵振興対策事業」では、「生産基盤確立のため」という理由で施設整備に対する助成が、「攻めの水田農業構造改革事業」、「活力あふれる園芸産地整備事業」、「次世代林業基盤づくり事業」では「競争力強化を図るため」あるいは「構造改革を推進するため」という理由で機械導入に対する支援が盛り込まれています。「経営体育成基盤整備事業」では、担い手への農地の集約化の推進が目標として掲げられています。行政が農業の競争力を強化するために構造改革を推進するべきだという考えには同意しますが、支援内容には疑問を持ちます。

 

安倍政権が、農産物の輸出額を2020年に1兆円にまで拡大する「輸出倍増戦略」を打ち出した際にモデルとしたのは、世界第二の農産物輸出国、オランダです。オランダは、国土面積が九州ほどしかなく、気候にも恵まれず、人件費が高いのにもかかわらず、その農業は高い競争力を持ち、トマト栽培を例に取ると、単収が日本の約8倍もあります。しかし、オランダ政府が力を入れている農業支援は、日本政府がやっているような農家に対する直接的な補助ではなくて、研究開発です。民間でできることは民間に任せ、行政は行政でなければできないことに特化することで、オランダは、農業の競争力を高めました。オランダの農業には問題点もあるので、すべてを模倣する必要はありませんが、オランダの農業政策から私たちが学ぶことは少なくはありません。

 

オランダは、農家一戸あたりの耕地面積が日本の約14倍もあるので、担い手への農地の集約化が必要なことはたしかですが、行政が直接介入しなくても、小規模農家が集まって、大規模な株式会社を設立することができます。設備投資に必要な資金調達も株式を発行することで、自分たちでできます。政府や自治体が農地の集約化のためにするべきことは、耕作放棄地の保有に高い税金をかけ、耕作放棄地の売却を後押しすることと参入規制を緩和して他分野の株式会社が農業分野に進出しやすくすることです。

 

政府が農業の競争力強化のために予算を組まなければならない事業は、個別農家のための設備投資ではなくて、民間では困難な、もっと公共性が高い分野への投資です。研究開発もそうですが、ネットワーク外部性のあるインフラの建設もそうです。この点で、「経営体育成基盤整備事業」で実施されるパイプラインの整備は、公共性のある事業と言えます。しかしながらこの事業で推進されるパイプライン化は水路に限定されています。オランダ並みに生産性を向上させるには、トリジェネレーションのためのネットワークインフラを整備する必要性があります。

 

トリジェネレーションとは、有機物燃料を燃焼させることで生み出される熱、電気、二酸化炭素をすべて有効活用する方法で、オランダの温室栽培は、トリジェネレーションを採用し、温度や二酸化炭素濃度をコンピュータに自動制御させることで、世界最高水準の単収を実現しました。トリジェネレーションは温室単位で行ってもよいのですが、小規模だと発電効率が落ちるので、大規模に火力発電を行い、発生する二酸化炭素を回収し、発電で生じる熱で熱して、それをパイプラインで各温室に送り込めるようにすればよいでしょう。

 

オランダは燃料として天然ガスを使っていますが、大分県では農業や林業が多くの有機廃棄物を排出しているので、そうしたバイオマスを燃焼させてトリジェネレーションを行えば、カーボン・ニュートラルな温暖化対策になります。バイオマスの燃え滓はリンなどの栄養塩を含んでおり、天然の肥料として使えます。大分県では、温泉の熱を利用した温室栽培をコンピュータ制御で行う研究を支援していますが、温泉は熱を供給しても二酸化炭素や無機塩といった肥料を供給しませんし、利用できる地域が限られるという欠点があります。

 

従来日本では、電力は電力会社が、熱はガス会社が、肥料は農協が提供しており、行政も、縦割りの弊害で、シナジー効果のある政策を打ち出すことができませんでしたが、農業の競争力を高めるためには、農業とエネルギー産業の垣根を取り払った総合的な産業育成が必要なのではないでしょうか。日本の農業の生産性をオランダ並みに高めるためにも、執行部には従来型のバラマキ延命農政とは一線を画す未来志向のイノベーションに取り組んでいただくようお願いします。

「参議院議員選挙における合区の解消を求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

2年前の選挙制度改革で、公明党と民主党が大分県と宮崎県の合区を含む10県20合区を提案したこともあり、この問題は我が県にとっても他人ごとではありません。他方で、すべての都道府県が最低一人の議員定数を確保し、かつ一票の格差を縮小させようとすると、選挙区選出議員の定数を大幅に増やさなければなりません。これは、身を切る改革を政策として掲げる維新の会にとって容認できることではありません。

しかしながら、合区を解消し、一票の格差を無くし、それでいて議員定数を減らす方法があります。それは議決に際して、有権者数を反映した係数を議員の表決に乗じてから集計するという方法です。例えば、昨年行われた第24回参議院議員通常選挙では、埼玉県選挙区選出の議員は、福井県選挙区選出の議員よりも、議員一人当たりの有権者数が3.08倍も多いので、福井県選挙区選出の議員の表決にかける係数を1とするなら、埼玉県選挙区選出の議員の表決にかける係数を3.08とするのです。このように各議員の表決に係数をかけてからそれを集計し、過半数を超えるかどうかで議決するのです。参議院は、押しボタン式投票なので、算定は電算ですぐにできます。

もちろん、係数の違いは小さい方が望ましいのですが、そうしようとすると、選挙区選出議員の定数が増えてしまいます。しかし、一議員一票の原則を前提としないなら、比例代表選出議員96人を置く必要がなくなります。比例代表の結果は政党の持ち票として議決の際にカウントするのです。こうすることで、選挙区選出議員の定数を増やしても、議員の総数を減らすことができるのみならず、比例代表で当選しながら、党執行部に造反したり、離党したりするといった比例代表の制度が抱える問題をも解決することができます。

この方法は、衆議院における一票の格差の是正にも使えます。地方創生のためには、過疎地域の声を優先的に届けることができるよう、一票の格差を容認するべきだという意見もあるかもしれません。しかし、地方創生のためには、地方への移住を考えている都市住民の声にも国会議員は耳を傾けるべきです。また、何よりも、憲法第14条の理念である法の下の平等は守られるべきです。

以上の理由より、合区の解消を求める本意見書案に、条件付きではありますが、賛成します。

「過疎地域の追加と過疎対策事業債の対象事業の拡充を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

平成12年に施行された過疎地域自立促進特別措置法は、その後延長される度ごとに、過疎対策事業債の対象事業をハード、ソフトの両面にわたって拡大させてきましたが、ほとんど効果はありませんでした。いくら過疎地のインフラを整備したところで、そこに人と企業が集まらない限り、過疎化問題は解決しません。

そこで、過疎地に人と企業を集める代案を提案したいと思います。現行の生活保護では、1級地から3級地にいたるまで、地域を物価水準で分類し、高い級地ほど生活扶助基準額を高く設定しています。これを、低級地ほど生活保護の受給が容易なるようにし、高級地での受給には制限を加えるように制度を変更するのです。離島のように、物価水準の高い過疎地もありますが、一般的に言って、都市部ほど物価水準は高く、過疎地ほど物価水準は低いので、低級地での受給要件を緩和すれば、貧困層が都市部から低級地である過疎地に移住するようになります。低級地は基準額が低いので、受給者が増えてもあまり国の財政を圧迫しません。

次に、生活保護に負の所得税の方式を導入し、生活保護受給者に、低賃金でも働こうとする意欲が生まれるようにします。そして、低級地限定で最低賃金法を廃止すれば、日本の過疎地は、地価が低いわりにはインフラが整備されていて、言葉の壁もないので、安い労働力を求めて海外移転した日本企業が、生産拠点を国内に回帰させるようになるでしょう。

もとより、都市部から過疎地に人口が移っても、日本全体の人口が増えるわけではありません。しかし、これに関しては、昨年の一般質問で申し上げた通り、サービスのユビキタス化で対応すれば、デメリットをメリットに変えることができます。本意見書案は、市町村立の学校の整備を過疎対策事業債の対象事業に追加することを要望していますが、教育サービスのありかたも人口減少時代にふさわしい形態に変えていくべきです。現在、シリコンバレーでは、エドテック(EdTech)と呼ばれる、人工知能などの情報技術の教育への応用が試みられています。今後は学習者にカスタマイズされた質の高い遠隔教育を低コストで受けられるようになるでしょう。

以上の理由から、本意見書案に反対します。

「水素ステーションの整備促進を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

経済産業省は、平成28年度の予算において、水素供給設備整備事業費補助金として62億円の予算を計上し、平成29年度では、燃料電池自動車の普及促進に向けた水素ステーション整備事業費補助金として52億円の概算要求をしています。しかしながら、次世代自動車としては、電気自動車の方が燃料電池自動車よりも、世界的に見て優位にあります。もしも電気自動車がデファクトスタンダードになるなら、燃料電池自動車のためのインフラ投資が無駄になる可能性があります。

電気自動車の強みは、電気という最も普遍的に利用可能なエネルギーを動力源としている所にあります。燃料製造時まで考慮したエネルギーの総合的な効率で、電気自動車は燃料電池自動車に勝り、この点で真のエコカーと言えます。従来、電気自動車は走行可能距離が短い、あるいはパワーがないことが欠点とされてきましたが、こうした課題は、バッテリー性能の向上やワイヤレス充電技術の進歩により克服されています。完全自動運転の時代になれば、充電の場所と時間を含めた最適な運行プランが人工知能によってプログラムされるようになるでしょう。

もしも水素ステーションの建設が純粋に民間企業によって行われるのなら、本意見書案が提案する規制緩和に私は反対しません。しかし、水素ステーションの建設は、政府が補助金を支給して推進している国策事業です。税金が浪費されることになりかねないことを懸念し、水素ステーションの整備促進に反対します。

「海洋ごみの処理推進を求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

海洋ごみのうち最も大きなウエイトを占めるのはプラスチックごみで、生き物が誤飲、誤食するといった生態学的被害に加え、漁網やロープに絡みつくといった漁業への影響、景観悪化による観光への影響などの経済的被害をもたらしています。

プラスチックごみの投棄の禁止や回収といった対策には限界があるので、微生物によって、環境に悪影響を与えない低分子化合物に分解される生分解性プラスチックの使用が推奨されるべきです。生分解性プラスチックは、生分解性のないプラスチックに比べると高価なので、なかなか普及しません。そこで、生分解性のないプラスチックに課税することで、それがおよぼす被害や回収コストなどの外部不経済を内部化してはどうでしょうか。

海洋プラスチックごみは国境を超えた国際問題ですので、生分解性のないプラスチックへの課税は、国際的なルールに基づいて行われるべきであると思います。その意味でも、国際社会と連携して海洋プラスチックごみの発生抑制及び削減に努めることを求める本意見書案に賛成します。

「地方財政の充実・強化を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

本意見書案で取り上げられているトップランナー方式は、昨年12月に総務省の地方財政審議会が、自治体の歳出削減努力を反映させるために導入を求めた方法です。従来の算定方法では、歳出を削減すると地方交付税が減額される場合があり、行政改革の阻害要因の一つとなっていました。トップランナー方式では、他団体のモデルとなるような単位費用の低い水準が地方交付税の基準財政需要額の算定に反映されるので、業務の民間委託やICTの活用などによる歳出削減を促進する効果が期待できます。

本意見書案は、「地域による人口規模・事業規模の差異、公共サービスに対する住民ニーズ、各自治体における検討経過や民間産業の展開度合いの違いを無視するものであり、数値目標設定による民間委託の推進には賛同できない」と言っていますが、人口規模が小さすぎるというのなら、市町村合併を行えばよいし、住民ニーズが多様というのであれば、なおさら多様なニーズに対応できる民間企業にサービスを委託するべきです。また、民間企業は、需要があるところには進出するものであり、民間産業がまだ展開していないから委託しないというのは論理が逆であります。

歳出増大は必ずしも住民のサービス満足度を向上させないし、歳出削減は必ずしも住民のサービス満足度を低下させません。最も望ましい組み合わせは、歳出を削減しつつ、住民のサービス満足度を向上させることであり、そのために知恵を絞ることこそ、行政が行うべきことです。

「地方バス補助の上限引下げに反対する意見書案」に反対する立場で討論を行います。

現在、県は高齢の自動車運転者に免許の自主返納を促しており、その結果、自動車を運転することができない交通弱者が今後増えることが予想されます。しかしながら、赤字路線の地方バスヘの補助は、自家用車を利用することができない交通弱者を救済する方法としては時代遅れであり、インターネットが普及した現在では、ライドシェアの普及によって交通弱者問題を解決するべきです。

昨年5月から、京都府の京丹後市(きょうたんごし)で、ウーバーの技術を活用して自家用車で乗客を有償運送する「ささえ合い交通」というサービスが始まりました。一般のタクシー料金のおよそ半額で乗客を運んでくれるということで、利用者には好評のようです。非営利の長距離ヒッチハイクをインターネットで仲介するサービスも利用者を増やしつつあります。

日本では規制が厳しく、営利目的の白タクを全面的に解禁するには至っていませんが、もし白タク規制を完全に撤廃すれば、日本でもライドシェアが普及し、自治体が赤字路線維持のために補助金を支給する必要がなくなります。バスは特定停留所間を特定時間に運航するだけですが、タクシーは、任意の道のりを任意の時間運行することができるので、利用者の利便性が高くなります。バスの運転手やプロのタクシードライバーの中には仕事を失う人も出てくるでしょうが、全体としては雇用の拡大になります。

私は、先ほど「最も望ましい組み合わせは、歳出を削減しつつ、住民のサービス満足度を向上させること」であると申し上げましたが、白タク規制の撤廃によるライドシェアの普及は、一方で歳出を減らし、他方で住民のサービス満足度を向上させるのですから、まさにその一例であると言うことができます。

「組織犯罪処罰法等に関し基本的人権が侵害されない厳格な運用と国民への十分な説明を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

本意見書案は、「戦後日本の刑法の基本原則である行為主義が転換されること」を問題視していますが、この法律は、戦前の治安維持法とは異なり、思想の処罰を目的としていないので、表現・思想信条の自由を侵害するという批判は当たりません。殺人予備罪、強盗予備罪、内乱陰謀罪、爆発物使用の共謀罪などと同様に、重大犯罪の準備という行為を予防目的で取り締まる法律です。

既遂行為に対する死刑を最高刑とする刑罰は、海外で頻発する自爆テロや日本国内でもしばしば起きる自殺目的の無差別殺傷事件に対して抑止効果を全く持っておらず、こうした自らの死を厭わずに行う犯罪を防ぐには、計画段階で摘発するしかありません。

本意見書案は、国民のプライバシーの権利を守るための厳格な運用方法を求めていますが、むしろプライバシーの権利を重視しすぎたことで、テロなどの組織犯罪を防止するための実効のある手段をとりえなくなっていることの方が問題です。

日本維新の会は、与党との修正協議において、この法案が取り締まろうとする犯罪を通信傍受法の対象に追加することを求めましたが、与党は「監視社会」になるという他の野党の批判を恐れて受け入れませんでした。しかし、通信傍受という方法なしでテロなどの組織犯罪をどうやって事前に発見することができるのでしょうか。

米国などが既にやっているように、通信傍受の対象を広げることに対しては、プライバシーの権利が不当に蹂躙される恐れがあるという反対意見があることは承知しています。米国では、クラウド上に保存された有名女優のプライベートヌード写真が流出するという騒動が起きたことがありましたが、こうした類の非来的な目的での悪用を防がなければなりません。

 

そのためには、通信傍受によって得られたローデータに人間が直接アクセスすることを禁止し、人工知能によってスクリーニングされた、つまり、犯罪捜査に必要な情報にのみ、人間がアクセスできるようにするべきです。人工知能を介在させることで、たんに捜査のための人件費を節約することができるだけでなく、一般国民のプライバシーを最大限守ることができます。

今回、政府がこの法案を成立させたのは、東京オリンピツク・パラリンピツク競技大会の開催を前に、国際組織犯罪防止条約を締結することが目的で、政府には積極的に組織犯罪を防止する意欲はないものと思われます。しかし、日本も組織犯罪の被害とは無縁ではない以上、たんなる形だけの法律の成立で満足することなく、実効のある手段を認めることで、組織犯罪の防止に積極的に取り組むことを政府に求めます。

「ギャンブル等依存症対策の抜本的強化を求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

昨年末にIR推進法が成立したことで、ギャンブル依存症が増えることが懸念されています。ギャンブル依存症を減らすには、カジノを全面的に禁止するべきだというのが多くの人の意見ですが、私はむしろ逆に、ギャンブルを全面的に合法化した方がギャンブル依存症を減らすことができると考えています。

その理由を、薬物依存症患者を減らすことに成功したポルトガルの事例を紹介して説明したいと思います。かつてポルトガルでは、厳しい取り締まりにもかかわらず、国民の1%が薬物中毒でした。厳罰を与えても、事態は悪くなる一方であったため、ポルトガル政府はそれまでの方針を転換し、個人の薬物保持を非犯罪化し、犯罪の取り締まりに費やしていた予算を、依存症患者の社会復帰に使うことを決めました。

薬物服用を犯罪にすると、薬物依存症患者は誰もそれを正直に申告しません。非犯罪化したことで、政府は薬物依存症患者の実態を正確に把握することができるようになりました。政府による資金援助もあって、依存症患者の社会復帰が順調に進み、その結果、ポルトガルにおける薬物服用が50%も減少しました。また、注射器の回し打ちが減ったおかげで、依存症患者のHIV感染率も大幅に減少しました。

依存症は、社会的に孤立した人が癒しとなる絆を求めることで発症します。それを法律で禁止し、警察が違反者を取り締まると、それから逃れようとして、孤立していた人がさらに孤立するので、依存症はさらに悪化します。だから、依存症を減らすには、それとは逆のことをすればよいのです。薬物依存症だけでなくギャンブル依存症についても同じことが言えます。

薬物の密売と違法賭博が暴力団の資金源になるのは、それらが違法であるからで、暴力団を排除するために必要なことは、警察の予算を増やして取り締まりを強化することではなくて、正直に自己申告することを条件に薬物の服用や賭博を非犯罪化し、警察予算の削減で浮いた資金を使って、申告した人たちの社会復帰を促進することです。そういう趣旨で、私は、ギャンブルや薬物の依存症の実態把握を進め、抜本的な依存症対策の強化を推進することに賛成します。

「北朝鮮の核実験に対し制裁の強化と国民の安全確保を求める意見書案」に賛成する立場で、また「核兵器禁止条約への参加を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

かつてオバマ大統領がプラハ演説で訴え、そして核兵器禁止条約がその実現を目指すところの「核なき世界」が、最も理想的な世界であることは言うまでもありません。しかしながら、核兵器を根絶することは事実上不可能です。仮に物としての核兵器がなくなったとしても、核兵器の作り方を知っている科学者や技術者がいる限り、核兵器を根絶したことにはなりません。いつ何時ならず者国家やテロリストによって密かに核兵器が開発されるかわからないのです。

結局のところ、核の脅威に対しては核で対抗するしかないというのが現実です。意見書案には「核兵器の非人道性を、身をもって体験した日本」が核廃絶をリードするべきだという趣旨の主張がありますが、もしも太平洋戦争中に日本が核兵器を持っていたならば、広島と長崎の悲劇を防げたはずです。広島と長崎の悲劇を予防したいというのなら、むしろ核武装した方が効果的であるという結論になるのではないでしょうか。

北朝鮮が核兵器とミサイルの開発を進め、日本に対する核攻撃を公言している今、非核三原則を無条件で堅持するという従来の方針を見直さざるをえなくなりました。現在の安倍内閣は、米国とのニュークリア・シェアリングを含め、いかなる核武装に関しても議論すらしないという姿勢を示しています。私も、現政権と同様、現時点では非核三原則を放棄する必要はないと思っていますが、どのような状況下でも絶対に堅持すると表明してしまうと、非核三原則を外交カードとして使うことができなくなってしまいます。

中国もロシアも日本の核武装を警戒しています。トランプ政権は、中国やロシアに対して、北朝鮮への制裁に協力するように圧力をかけていますが、両国とも動きが鈍いというのが現状です。しかし、もしも北朝鮮の核とミサイルの開発を放置すれば、日本が核武装する可能性があるということになれば、それは中国とロシアにとって大きなプレッシャーになるはずです。つまり日本の核武装というカードを、実際に切らなくても、ちらつかせるだけで、北朝鮮に対する制裁を強化することができるということです。

国内では、話し合いによる解決を求める声が強いですが、外交カードを持たない状態で話し合いをしても成果は得られません。国際政治はリアルポリティックスで動いており、駆け引きなしで外交は前に進みません。日本の首相が「中国とロシアが北朝鮮の暴走を止めてくれると確信しているので、日本は核武装をする必要がない」というように、条件付きで非核三原則を遵守する発言を行うだけで、相当な効果があると予想されます。

以上の理由から、私は「核兵器禁止条約への参加を求める意見書案」に反対し、「北朝鮮の核実験に対し制裁の強化と国民の安全確保を求める意見書案」に賛成しつつも、非核三原則の遵守を条件付きにすることをその手段として提案いたします。

「鉄道軌道整備法の改正を求める意見書案」およびに「白タク行為の容認を旨とした規制改革に反対する意見書案」に反対する立場で討論を行います。

今年7月5日から6日にかけて九州北部を襲った豪雨により、JR九州の久大線と日田彦山線に不通区間が生じました。久大線では11日にうきは駅と日田駅との間でバスによる代行輸送が開始されましたが、日田彦山線の大行司駅と日田駅との間で代行バスの運行が開始されたのは31日からで、当初代行輸送がなかったので、県教育委員会と日田市が高校生や住民の足を確保するためにタクシーを手配しました。

前者の議案はこうした不便を解消し、不通区間解消を加速させようという意図から出された意見書案と受け取りますが、安易に国の補助に頼る前に、災害時の不便を民間レベルで解消する方法がないのかどうかを考える必要があります。私は、日田彦山線で起きたような問題は、白タク解禁によって解消されるべき問題であると考えています。プロのタクシー運転手は数に限度がありますが、白タクの潜在的な運転手は数が多いので、災害時に急増する需要に柔軟に対応できます。

第6号議案は、安全性を損ねるという理由で、白タク行為を容認する規制改革に反対しています。しかしながら、ウーバーなど、海外で稼働しているマッチングサービスでは、運転手と乗客の身元を事前に確認している上に、相互に評価するシステムがあるため、危険な運転手やモンスター客が排除されるようになっており、従来のタクシーと比べて安全性が著しく劣るという報告はありません。

意見書案は、白タク行為を容認する規制改革が「地方創生の一端を担う地域公共交通に大きな混乱をきたすおそれ」があると主張していますが、規制緩和により交通手段を多様化させた方が、災害時のリスクや財政負担が低減するし、利用者の利便性も向上するのだから、地方創生になるということができます。

以上の理由から、二つの意見書案に反対します。

「小中学校におけるプログラミング必修化に対して支援を求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

プログラミング必修化といっても、プログラミングという新教科が設けられるのでもなければ、専門の資格を持った教員が採用されるのでもなく、あくまで既存の教科の中で、プログラミング教育をすると次期学習指導要領で定められています。問題は、大部分がプログラミングの素人である既存の教員に満足なプログラミング教育ができるのかという所にあります。

文科省が取りまとめた有識者会議では、プログラミング教育の目的は、生徒がコーディングを覚えることではなくて、プログラミング的思考を身に付けることだとされていますが、教員がプログラミングを理解していないのなら、プログラミング的思考を教えることもできません。

小学校低学年向けには、スクラッチなど、直観的にプログラミングができる無料の教育用ビジュアル言語があり、これなら、プログラミングに不慣れな一般の教員でも教えられるでしょう。しかし、小学校高学年以上に一般的なプログラミング言語を教材とする教育を行うとなると、かなりハードルは高くなります。教員は多忙であり、研修等に十分時間をかけることも困難です。

そこで重要になるのが、特別免許状制度を用いて、教員免許を持たないが、プログラミング教育をすることができる人材に授業をしてもらうことです。もとより、そうした人材は全国どこにでもいるわけではありません。それで、本意見書案は「民間の人材の積極的活用が困難な場合や、小規模な自治体などにおいて適正な人員配置が困難な場合などでは、広域での対応を認めるなど弾力的な人材配置を認めること」を要望していますが、この問題を解決する最も良い方法は、双方向性のある遠隔教育を活用することです。

本年4月25日に行われた内閣府の規制改革推進会議でも「遠隔教育の推進に関する意見」を公表し、「今後その充実が期待されるプログラミング、英会話などさまざまな分野において、質の高い授業を提供する観点から、遠隔教育を活用することは効果的である」と言っています。完全な遠隔教育を行わない場合でもプログラミングを教える無料動画などの教材は既にネット上にあるので、生徒が宿題としてそれを家庭で視聴し、学校では実践的なトレーニングを行う反転学習のような部分的な遠隔教育が有効です。

以上、私なりの意見があるものの、その趣旨には大枠で同意できるので、本意見書案に賛成します。

知事は、提案理由の説明において、大分県版第四次産業革命、OITA4.0を加速させる産業振興策を打ち出しています。たしかに、IoT、ビッグデータ、人工知能といったイノベーションは、生産性を向上させるうえで重要でありますが、こうした分野の新産業は、民間が自発的に興すべきものであって、行政がターゲティングポリシーで育成するべきものではありません。

 

かつて通産省は、将来有望とされる新しい産業分野を政府主導で戦略的に育成しようとしましたが、こうしたターゲティングポリシーの結果は失敗のオンパレードで、その反省に基づいて、小泉内閣の時代に、産業政策は構造改革に取って代わられました。ところが、第二次安倍内閣の時代になってから、「新ターゲティングポリシー」の名の下、国家資本主義的な産業政策が復活しました。私は、安倍政権が謂う所の成長戦略が、過去に行われた愚行を繰り返すのではないかと懸念しています。

 

行政がするべきことは、民間に新産業を興すように指導することではなくて、民間で自発的に生まれるイノベーションの邪魔をしないこと、すなわち時代遅れの規制や官業による民業圧迫をやめることです。ITに関して言えば、産業政策とは逆向きに、民間で生まれたイノベーションを行政が行政本来の仕事に取り入れるべきです。この観点から、私はこれまで、執行部に対して行政のIT化を進めるように様々な提案をしてきました。今回、OITA4.0の一環として、IoT、ビッグデータ、人工知能を活用して、警察業務を効率化することを提案します。

 

既に民間の警備業界では、防犯カメラで撮影した画像や動画のデータをディープラーニングの能力を持つ人工知能に解析させ、警備員が対応するべき事故や犯罪を瞬時に探知したり、さらには予測したりすることで、警備業務を効率化しています。県警もこうした先進的なシステムを導入することで、業務のコストパーフォーマンスを改善するべきではないでしょうか。

 

人工知能に監視させることは、たんに人件費を削減したり、予測精度を上げたりすること以上のメリットがあります。警察が監視カメラを使うことに対するプライバシーや肖像権侵害の懸念を和らげることができるということです。

 

私が利用しているGmailというグーグル提供のウェブメールでは、かつてグーグルが、広告の個人化のために受信トレイをスキャンしていました。もしも人間が私の受信メールを盗み見するのなら、そのようなサービスを使う気にはなりませんが、機械が読んで、広告を自動的に選択しているだけなら、抵抗なく使えます。監視カメラも、人間ではなくて機械が見て、機械的に判断しているだけなら、抵抗は少なくなるのではないでしょうか。

 

昨年の夏に行われた参院選の選挙期間中に民進党現職らの支援団体が入居する別府市の建物の敷地内に、県警別府署員が無許可で隠しカメラを設置し、人の出入りなどを録画していたことが発覚し、非難を受けました。

 

私有地に無断で隠しカメラを設置することが違法であることは言うまでもありませんが、警察が捜査のために監視カメラを使うことまでは否定されるべきではないと思います。人間が撮影されたデータに直接アクセスすることを禁止し、人工知能の判断だけが人間に伝わるようにすれば、プライバシーや肖像権侵害の問題が起きなくなります。

 

監視カメラは、犯人の捜索に役立つだけではありません。行方不明者の捜索、認知症患者の徘徊の監視、急病人、負傷者、火災の早期発見にも使えます。これまで、警察、救急車、消防車への通報は、人間が行ってきましたが、監視カメラを通じて人工知能に行わせることで、迅速な対応が可能になります。

 

『おおいた産業活力創造戦略2017』によると、県は、革新的技術の活用促進のため、部局横断の庁内ワーキンググループを立ち上げ、地域課題解決に資するプロジェクトのアイデアをいろいろ集めていますが、その中には、民間に自発的にやってもらった方がよいプロジェクトもあります。民間にできることは民間に任せ、行政主導の第四次産業革命は、例えば警察業務のような、行政本来の仕事に対して行うべきと私は考えます

「勤労者の声を踏まえた「働き方改革」の実現を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

本意見書案は、残業時間の上限規制の法制化を画期的と評価しつつも、さらなる規制の強化を要望しています。しかし、残業規制や勤務間インターバル規制の強化が健康やワーク・ライフ・バランスの確保につながるとはかぎりません。なぜなら、残業が減れば、残業代も減るので、余暇が増えた労働者たちは、収入の減少を補うために副業に手を出すようになると予想されるからです。実入りの良い副業は多くなく、労働時間がトータルではかえって長くなることすらありえます。副業を禁止しても、隠れてやる人はいるでしょうから、根本的な解決にはなりません。

それなら、労働者が副業をしなくてもよいように、雇用者が賃金を上げればよいという意見が出てくることでしょう。実際、安倍政権は、経済界に賃上げを要請する官製春闘を5年にわたってやっていますが、これには無理があります。よく知られている通り、日本の労働生産性は他の先進国と比べて低く、この状況を改善せずに、一方で労働時間の短縮を、他方で賃上げを企業に求めるなら、企業は労働コストの不当な上昇に耐えられなくなって、生産拠点を海外に移すようになります。これは、最終的には、日本の労働者に不利益をもたらします。

労働者にとって最も望ましいのは、短時間労働で高い賃金を得ることです。しかし、それを実現するには、労働生産性の向上が不可欠です。日本の時間当たりの労働生産性が低いままである限り、賃金を維持するために長時間労働を続けるか、短時間労働の代わりに賃金を減らすかという望ましくない二つの選択肢しか日本の労働者には与えられません。

日本の労働者は教育水準が高いのにもかかわらず、他の先進国よりも労働生産性が低い根本的な原因は、日本的経営と呼ばれる日本独特のシステムにあります。新卒一括採用、終身雇用、年功序列といった硬直的な雇用慣行を続けようとすると、人的資源の最適化が妨げられます。また、政府が雇用の流動性の低さを前提に雇用を守ろうと市場に不当に介入した結果、本来市場原理により淘汰されるべき生産性が低い産業が温存され、それが低い労働生産性と低い経済成長率をもたらしました。

そこで、自民党は、雇用の流動性を高める解雇の金銭解決ルールの検討を急ぐように政府に求めていたのですが、政府が今月五日に自民党に提示した「生産性革命」の原案には、それが盛り込まれていませんでした。安倍総理は、従来から解雇規制の緩和に消極的です。耳あたりの良いことしか言わないようでは、「働き方改革」はたんなる掛け声だけで終わってしまいます。

もしも解雇規制を緩和し、雇用の流動性を高めることができるようになれば、政府は保護主義的な衰退産業の温存をする必要が無くなります。生産性の低い産業を退場させ、人材が生産性の高い産業に移行することを促すなら、労働生産性の向上が期待できます。

労働生産性が向上するなら、成果報酬型の賃金システムの導入は、短時間労働で高い賃金を得ることを可能にします。雇用者がそうしないなら、労働者が短時間労働で高い賃金を支払う職場に転職すればよいだけです。したがって、転職が困難な現状を前提に、高度プロフェツショナル制度や裁量労働制の対象業務拡大が長時間労働を助長すると懸念する本意見書案には同意できません。

以上の理由から、本議案に反対します。

生活保護世帯の子どもたちの大学等への進学に関する意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

生活保護制度は、本来、生活困窮世帯の貧困からの脱却と自立を支援する制度のはずですが、実際には、むしろ逆の働きをしている面があります。収入の分、給付を減額する制度のおかげで、受給世帯は勤労意欲を失い、貧困の罠、ポバティー・トラップから抜け出せなくなっていることは、しばしば指摘されるとおりです。

さらに本意見書案が指摘するように、生活保護受給世帯では子供を大学に進学させるハードルが高いため、親だけでなく、低学歴に甘んじる子供までが貧困の罠から抜け出せなくなっています。大都市近郊のある都市での調査によると、成育期に生活保護を受給した経験のある、受給者の割合は32%ということで、世代を超えた貧困の連鎖が実際に生み出されていることが確認されます。

私たち維新の会は、こうした生活保護制度の欠陥を是正するために、給付付き税額控除を提案しています。給付付き税額控除は、生活保護とは異なり、勤労意欲を阻害しないし、例えば、高等教育への投資といった個人の経済活動の自由にも干渉しません。ケースワーカーが家庭を訪問して実態調査をする必要もないので、余計な行政コストがかかりません。

平成19年の少し古い調査結果ですが、生活保護を受給するべき低所得、低資産の世帯のうち、実際に受給している割合、捕捉率は、32.1%と試算されています。給付付き税額控除では、還付金の支払い並みに自動化されるので、こうした公平性の問題も生じません。

給付付き税額控除を直ちに実現することは困難なことでしょう。しかし、現行制度をこの制度に近づける努力は必要であり、それゆえ、本意見書案に賛成します。

「所有者不明の土地利用を求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

本意見書案が指摘する通り、「所有者不明土地の発生を予防する仕組みを整備すること」は喫緊の課題です。所有者不明土地が発生する最大の原因は、相続登記が任意で、高い費用と煩瑣(はんさ)な手続きを嫌って、相続した不動産を登記しない相続人が多いところにあります。このため、法務省は、相続登記を義務化し、違反した場合の罰則を設けることを検討しています。

しかしながら、相続登記を義務化するだけでは不十分であり、義務化する以上、登録免許税をはじめとする様々な登記コストの削減と手続きの簡素化を同時に進めるべきです。そのためには、ブロックチェーンとマイナンバーを用いて、低コストで簡便に利用できる安全な登記システムをオンライン上で構築する必要があります。

ブロックチェーンは、ビットコインなどの仮想通貨で用いられている分散型台帳技術ですが、すべての取引履歴が共有されていて、改ざんができない特徴を生かして、仮想通貨以外の用途にも使われるようになっています。不動産売買の取引に関しても使うことができ、実際、ジョージア共和国は、2016年4月からブロックチェーン技術を土地登記に活用するプロジェクトを始め、その結果、ジョージアの土地売買のコストは1/1000になりました。

スウェーデンも、今年になって、不動産売買にブロックチェーン技術を取り入れ、現在は完了までに数カ月かかる登記や所有権移転の手続きを、数日あるいは数時間で終わらせることができるようにする予定です。この他、米国やインドでも、一部の自治体が不動産取引をブロックチェーンに記録するシステムを構築しています。

日本政府は、所有者不明土地問題の解消に向けた取組を行うべく、平成30年度に34億4千万円を概算要求しています。取組の一つとして、一定の要件を満たす場合、登録免許税を免除する特例を新設することを要望していることは注目すべきことですが、登記制度に関しては、「中長期的課題について論点や考え方等を整理するための研究会を設置する」といった内容に留まっており、海外と比べて遅れているという印象を受けます。

日本政府は、ブロックチェーン技術を用いて、「所有者不明土地の発生を予防する仕組みを整備するべきである」という趣旨で、本意見書案に賛成します。

「地域材の利用拡大推進を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

本意見書案は、森林環境譲与税を活用して公共建築物を木造化・内装木質化するなど、木材利用拡大を要望していますが、森林環境税および森林環境譲与税は、地球温暖化防止や災害防止を目的としており、木材の利用拡大推進を目的としていません。木材の利用拡大推進のために森林環境を破壊するなら、本末転倒です。しかるに、政府は、平成30年度予算で、主伐(しゅばつ)時の全木集材と再造林を資源高度利用型施業(せぎょう)として支援することを決めました。間接的にではありますが、禿山(はげやま)を作るという環境破壊を補助金で促進しようとしているということです。

政府が木材利用拡大を推進するのは、本意見書案の冒頭にも書かれている通り「戦後造成した人工林が本格的な利用期を迎え」ているという認識があるからです。しかし、前提となっているこの認識がそもそも間違っています。2014年に科学誌『ネイチャー』に掲載された論文によると、年老いた樹木は若い樹木よりも成長が速く、より多くの二酸化炭素を吸収します。戦後人工林を造成してから、60年から70年程度しか経っていませんが、スギは140 年ほど、ヒノキは100 年ほどの間成長が期待できるので、現在はまだ主伐の時期ではありません。伸び盛りの木を皆伐(かいばつ)することは、たとえその後再造林を行うとしても、二酸化炭素の吸収という点でも、木材資源の育成という点でも逆効果なのです。

だから、林業先進国であるドイツやオーストリアでは、日本のように50年で皆伐せず、100年単位で天然更新することにより、森林資源の保全と高収益の林業を両立させています。日本でも一部の林業家たちが、こうしたヨーロッパ型林業を自伐(じばつ)型林業と呼んで、実践しています。政府は、巨額の補助金を食いつぶしながら環境破壊を促進する従来型林業をやめ、持続可能で低コストな自伐型林業を普及させるべきです。そして、そのために政府が打ち出すべき最善の政策は、従来型林業への補助金を減らすことです。

本意見書案は、「木材利用を行う施設に係る補助率の嵩上げ、基準単価の見直し」を要望していますが、日本の林業はすでに、経費の七割から八割が補助金で賄われている補助金漬けの産業になっています。また、本意見書案にはCLT(直交集成板)への支援も盛り込まれていますが、政府はすでに1立方メートルあたり15万円の平均価格を上限に全額補助することを決めています。もとよりヨーロッパのCLTは、1立方メートルあたり6万円程度で、しかも日欧EPAにより木材への関税が撤廃されるので、1立方メートルあたり15万円では勝負 になりません。ヨーロッパとの競争に勝ち抜くために必要なことは、補助金を増やすことではなくて、逆にヨーロッパなみに減らし、かつ林業経営をヨーロッパ型に変換することです。

以上の理由から、従来型林業の延命しかもたらさない本意見書案の提案に反対します。

「日本年金機構の情報セキュリティ対策の見直しを求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

昨年8月、年金機構に提出された扶養親族等申告書1300万人分のデータ入力業務を受託したSAY企画は、業務の一部を契約に反し中国企業に再委託し、さらにSAY企画のミスにより、約十五万人に過少支給あるいは過大支給がなされるという結果となりました。業務再委託は別の会社でも行われていることがその後の調査で発覚し、今月、厚生労働相は日本年金機構に対して業務改善命令を行い、機構は再発防止のためのプロジェクトチームを設置しました。

本意見書案が求める取り組みは、どのみちなされるでしょうが、これだけでは不十分です。今回の問題を抜本的に解決するには、これまでのように紙媒体で申告させ、年金機構側で手書きの文字をデジタルに変換するのではなくて、申請者にネットを通じて直接デジタル入力をさせなければなりません。キーボード入力ができない申請者もいるでしょうが、その場合は、スタイラスペンや音声で入力してもらい、コンピューターによる認識結果を申請者本人に確認してもらえばよいでしょう。これは個人情報の外部流出リスク、入力ミス、経費を減らす上で最も効果的な方法です。

今回入力を委託された扶養親族等申告書のうち、2016年1月以後のものには、マイナンバーが記載されるようになっていたにもかかわらず、マイナンバーをキーに抽出した情報が使われませんでした。このように、今回の問題の背景には、紙媒体での情報処理を基本とする行政慣行やマイナンバーの組織横断的な活用の欠如があり、たんに日本年金機構のガバナンスを強化するだけでは、不十分なのです。

もとより、日本年金機構は、前身の社会保険庁の時代から、今回の件に限らず、さまざまな不祥事を起こしてきたことは周知のとおりです。組合の影響が強く、プロフェッショナルな仕事を期待することができない日本年金機構を改善ではなく、解散させ、代わりに、よりプロフェッショナルな能力を持つ国税庁を財務省から独立させ、歳入庁とし、そこに徴税と社会保険料の徴収を一元的に行わせるべきではないでしょうか。その方が行政の効率化を図りつつ、納税者の公平・公正感を醸成することができます。

以上の理由から、抜本的な問題解決からはほど遠い本意見書案の提案に反対します。

「主要農産物種子法の復活を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

本意見書案は、民間企業による種子開発の独占を懸念していますが、行政による種子開発の独占に問題がないと言えるでしょうか。行政が、民間企業とは異なり、特許料の支払いを要求しないとしても、徴税という別の形でコストを回収しており、行政が種子開発を行えばコスト負担が低下するという認識は正しくありません。地方自治体が地域の農業の振興に限定して種子開発を行っているのに対して、民間企業はグローバルに事業を展開できるため、スケール・メリットを享受することができます。この点で、民間主導にした方が、コスト・パーフォーマンスの改善が期待できます。

本意見書案は、また、海外の種苗大手への知見流出などを懸念していますが、もしも日本の農業が海外の種苗大手によって支配され、品種が単一化することを恐れているなら、なおさら、日本国内で競争力のある種苗企業を多数育成する必要があります。農業競争力強化支援法の第八条四に「独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進する」とあり、私もこれは不当だと思いますが、だからと言って現状維持ではなくて、独立行政法人に特許の権限を与え、民間企業として独立させるという第三の道を選択するべきです。売却することで、行政はこれまでの投資を回収することもできます。

本意見書案は、さらに、遺伝子組み換え品種が食の安心・安全を脅かすことを危惧していますが、遺伝子組み換え技術が危険という認識に科学的根拠はありません。近い将来、遺伝子組み換え技術よりも簡単に遺伝子操作ができるゲノム編集により、品種改良の競争がグローバルに激化することが予想されます。日本が種子ビジネスの負け組にならないよう、種子開発を官主導から民主導に切り替える必要があります。以上の理由から、本意見書案に反対します。

「水道民営化を推し進める水道法改正案の成立に反対する意見書案」と「水道施設の戦略的な老朽化対策を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

秋の臨時国会で再び審議される見通しの水道法改正案は、水道事業の運営権を 民間企業に売却するコンセッション方式の導入を想定しています。これがリスキーであることは認めます。コンセッション方式では、運営権の譲渡期間は数十年に及ぶ長期になります。水道インフラは地域に一つしかなく、営利企業一社に長期にわたる独占を認めることは危険です。譲渡契約途中で再公営化しようとしても、多額の違約金がネックとなってできないということが、海外で起きています。

もとより、水道事業に民間の知恵と工夫をオープンに取り入れる努力は必要ですし、公的資金を投入しない独立採算制も望ましいことなので、民間で資金調達をさせるPFI自体は、導入するべきであると思います。但し、PFIをコンセッション方式でするなら、譲渡契約を中途で解約する時のルール作りを事業者との間で入念に行う必要があります。運営権譲渡後、競争圧力の代わりに契約打ち切り圧力をかけることで、独占の弊害を減らせるからです。

両意見書案は、官民連携の賛否はともかくとして、ともに水道事業への財政支出を求めています。国や自治体が金を出すことで、水道料金は見かけ上安くなりますが、見かけのコストが下がれば下がるほど、水の浪費が起きます。消費者に水資源の有効活用を促すには、受益者負担の原則に基づいて、水道事業を独立採算制にすることが必要です。

財政支援がなければ、維持することができない過疎地域の村落などもあるでしょうが、今後も人口減少が続くことを考えるなら、不採算地域からの撤退はやむを得ません。財政負担を減らし、資源の有効活用を促すためにも、私たちは地域の自立と事業の自立を目指すべきです。

以上、現行のコンセッション方式に欠陥があることは認めますが、水道事業は独立採算制を目指すべきだという理由から、両意見書案の提案に反対します。

「キャッシュレス社会の実現を求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

本意見書案は、キャッシュレス化が進展しない原因の一つとして「店舗における端末負担コストやネットワーク接続料、加盟店手数料等」を挙げていますが、この問題は既に解決されつつあります。現在、QRコード決済サービスの競争は熾烈を極め、LINE Pay、Amazon Pay、ソフトバンク・グループのPayPayが相次いで手数料無料を打ち出しています。店舗における端末負担も実質的にはゼロであり、コスト面での敷居は低くなっています。

それなのに、経済産業省は、中小事業者によるキャッシュレス端末の導入などを補助するため、来年度予算に約30億円を計上しようとしています。こうした補助は、インターネットを経由すぜに、ICカードを読み取ることで行う従来の非接触型決済システムを延命させるだけであり、低コストなキャッシュレス化の推進という点では、逆効果であります。

もしも政府が、政府の権限を用いて効果的にキャッシュレス化を推進したいのであれば、高額紙幣を廃止するとよいでしょう。インドのモディ首相は、2016年に予告なしで突然高額紙幣を廃止し、国内を混乱に陥れましたが、これは予告なしだったから起きた混乱で、準備期間が長ければ、混乱は起きません。政府は2027 年までに、キャッシュレス決済比率4割程度とする目標を掲げていますが、2027年に二千円札以上の紙幣を廃止すると宣言すれば、民間がそれまでに準備し、2027年にはキャッシュレス決済比率は九割を超えることでしょう。

政府は、今年から銀行口座にマイナンバーを登録する制度を始めました。オンライン決済をマイナンバーや法人番号で追跡することで、脱税やマネーロンダリングなどの犯罪を防ぐことができます。事業者にとっては、経理や会計の労苦から解放されるというメリットがあります。公平で効率的な社会を作るためにも、決済のキャッシュレス化を推進するべきです。

以上の理由から、本意見書案に賛成します。

「無戸籍問題の解消を求める意見書案」に賛成する立場で討論を行います。

今年八月現在、法務省が把握している無戸籍者数は715人で、そのうち四分の三は、民法の嫡出(ちゃくしゅつ)推定の規定によって子が前夫(ぜんぷ)の戸籍に登録されるのを避けるために、母が出生届を出さなかったことで発生しています。

嫡出推定を覆す訴えを起こせるのは、原則として夫だけで、それも子の出生を知ってから一年以内です。いったん確定した父子関係は、DNA鑑定で間違いであることが判明しても、取り消すことはできません。平成26年に最高裁判所がそういう判決を出しました。

ただし、最高裁判所は、事実上の離婚や遠隔地の居住などで前夫の子を妊娠する可能性がないことが明白な場合は嫡出推定の例外とする判断を示しており、法務省民事局長も、医師による妊娠時期の証明があれば、嫡出推定を否定する出生届を特例として認める通達を出しています。それでも、子を前夫の戸籍に登録させないためのハードルは低くはなく、今後も無戸籍者が増えることが予想されます。

本意見書案は、民法第七七二条に例外規定を設けるなどの民法改正の検討を求めています。私も、前夫による嫡出否認がなくても、母がDNA鑑定をもとに正しい出生届を出せる規定を設けるべきであると思います。しかし、私は、そもそも戸籍は必要なのかというもっと根本的な問題を提起したい。父が誰であれ、母が日本人なら、子も日本国籍を持てるので、無戸籍だからと言って子が日本国民としての権利を持つことを否定するべきではありません。

戸籍制度は、家を前提にした前近代的な制度で、外国人の配偶者を記載できないとか、氏を統一しなければならないとかといった制約により、無戸籍問題以外にも様々な社会問題を生み出しています。身分の認証システムを家中心から個人中心に変える必要があります。

政府は、戸籍事務にマイナンバーを導入し、戸籍謄本を取得しなくても、マイナンバーで児童扶養手当の受給や婚姻届の提出などを可能にすることを検討しています。戸籍や住民票など、個人認証に必要な情報を各市町村長ごとにばらばらのフォーマットで管理するよりも、すべてをマイナンバーでひもづけ、国がクラウド上で一元的に管理する方が、行政にとっても、国民にとっても利便性が高まります。

マイナンバーで統合するにあたって、戸籍に記載されている本籍地の情報は削除するべきです。国が管理する以上必要ないし、差別に悪用されることがあるからです。いったん個人と個人間の情報を集約したデーターベースを作成すれば、住民票のような個人の情報、戸籍のような家族の情報、相続の際に必要な親族の情報など、そのつど必要な範囲のデーターを一つのデーターベースから抽出できるようになります。

無戸籍問題解消だけでなく、戸籍自体の解消をというのが私の考えですが、もとより、無戸籍問題解消に異論はないので、本意見書案に賛成します。

「統計不正問題の真相究明と信頼回復を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

本意見書案は、「統計不正の再発防止と信頼回復のため、十年間で半減した国の統計職員の増員をはじめ、必要な施策と財源措置を抜本的に拡充すること」を求めています。

毎月勤労統計調査の件にせよ、賃金構造基本統計調査の件にせよ、小売物価統計調査の件にせよ、調査において手抜きが行われた背景に、マンパワーと予算の不足があることはたしかです。しかし、マンパワーと予算を増やさなくても、正確な調査を行うことは技術的に可能です。

現在、行政が行っている統計調査は、基本的に紙ベースで行われています。紙ベースの調査は、行政側に手間と費用がかかるだけでなく、調査を受ける民間側にも調査票記入の負担がかかります。オンライン調査のシステムも用意されていますが、データを手入力しなければならないので、負担軽減になっていません。

多くの企業は、賃金や勤労時間の記録をデジタル・データとして社内で保管しています。それをそのまま統計用に使えるようにすればよいのです。具体的に言うと、行政がAPI、アプリケーション・プログラミング・インターフェースを提供して、企業のデータベースと連携できるようにすれば、企業はいちいち再入力をしなくても、データをそのまま提出できるようになります。

民間の会計ソフトの中には、国税電子申告・納税システム、e-Taxが提供するAPIを活用し、クラウド上で管理しているデータベースを連携させ、簡単に納税手続きを完了できるようにしているところもあります。賃金や勤労時間などのデータの収集も同じことをすればよいのです。

物価のデータは、現在、調査員が店舗や世帯から調査品目の価格や家賃などを聞き取るという方法で収集されています。こうした実地調査には人と金が必要で、その制約上、限られた品目の物価を月単位でしか調査できません。しかも、発表まで時間がかかるので、日銀や政府は機動的な金融政策や財政政策を打ち出すことができません。

これに対して、民間では、スーパーのレジで商品の販売実績を記録するPOSデータやネット上の価格情報のウェブスクレイピングを活用し、総務省の調査よりも低コストで、より多くの品目を調査し、より迅速に日単位の物価動向を発表するCPIナウというサービスが提供されています。総務省も、民間の先端的な手法を見ならうべきです。

本意見書案は、政治的な動機によるデータの改変や破棄をも問題にしていますが、この問題も技術的に解決可能です。国と各自治体が、分散型台帳技術を用いてデータを共有すれば、改竄が困難になり、また、どこかのサーバーがデータを失っても容易に他のサーバーから復元できます。

政府は、世界最先端IT国家創造宣言を出し、官民データ活用推進を謳っています。そうであるならば、統計データを収集する際にも、IoT時代にふさわしいビッグデータの処理方法を採用し、より少ない人員、予算で、より正確で、より迅速な発表を行うべきです。

以上の理由から、従来型の調査方法を前提に、職員の増員と財源措置の拡充を要求している本意見書案に反対します。

「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う沖縄県民投票の結果を踏まえ真摯な対応を求める意見書案」に反対する立場で討論を行います。

県民投票の結果は尊重されるべきものではありますが、法的拘束力はないし、そもそも安全保障の問題は国全体の利害にかかわる問題であり、一地域の意向だけで決めてよい案件ではありません。

先月ハノイで行われた米朝首脳会談は事実上決裂し、北朝鮮がミサイル施設を再建するなど、米朝関係は再び緊張し始めています。また中国の習近平主席は、一月に発表した「台湾同胞に告げる書」で、台湾独立を阻止するためには武力使用も辞さない決意を表明しました。日中関係は改善しつつありますが、尖閣諸島周辺の領海への中国海警局の船による侵入は今も続いています。

このように東アジアの安全保障をめぐる状況が依然として厳しい中、日米の同盟関係を揺るがすかもしれない日米合意の見直しは好ましくありません。特に、戦後最も同盟関係を軽視する大統領が在任中であるこの時期に、日米安保見直しの口実を与えるようなことはするべきではありません。

トランプは、大統領選挙の予備選が行われていた時、日米安保の見直しや在日米軍撤退の可能性に言及しました。大統領就任後、持論を封印していますが、同盟関係を重視していたマティス国防長官は既に辞任しており、今後、通商交渉のディールとして日米安保の見直しが使われるかもしれません。

日米安保は我が国の安全保障の基軸であり、万一米国が日米安保を破棄するなら、尖閣諸島どころか沖縄県の領有すら危うくなります。中国共産党機関紙の人民日報は、2013年に「歴史的に未解決の琉球問題を再び議論できる時が来た」とする論文を掲載し、中国が沖縄の領有権を主張できることを示唆しました。中国政府はまだ公式に沖縄の領有権を主張してはいませんが、それは日米安保があるからです。もしも米国が日米安保を破棄するなら、中国が尖閣諸島のみならず沖縄県をも実際に領有しようとする可能性が高くなります。

日本全国の米軍専用施設の七割が沖縄に集中しており、沖縄にだけ基地負担を押し付けることは不公平であると感じている沖縄県民は多い。しかし、日本が実効支配している領土の中で、他国からの侵略を受ける可能性が最も高いのが沖縄県である以上、受益者負担の原則から言って、沖縄県に米軍基地が集中することは必ずしも不公平とは言えません。沖縄県が第二のチベットあるいはウイグルになった場合、最も大きな不利益を被るのは沖縄県民であります。

以上の理由から、本意見書案には反対いたします。